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投稿者 Ddog 日時 2003 年 1 月 11 日 14:35:21:


「"正念場"低迷の袋小路から脱却せよ」石弘光・一橋大学学長
QUICKエコノミスト情報VOL.79 「12月のエコノミスト情報U」 2003/01/09
低迷を続け、デフレの出口が見出せない日本経済。どこに問題があり、どんな方向に進むのか。今はどういう時代なのか。複数の有識者に現状と展望を伺った。前回の香西泰・日本経済研究センター会長に続く今回は、石弘光・一橋大学学長・政府税調会長です。
「"正念場" 低迷の袋小路から脱却せよ」石弘光・一橋大学学長・政府税調会長
【問】経済再生の道筋が見えません。
【答】1991年のバブル崩壊後、ケインズ流の財政政策で幾度も公共投資や減税、金融緩和を実施しても景気の下支え程度の効果しかなく、日本経済は力強い本格的な回復基調に乗れないでいる。ソフトランディングを目指してきたが、政府・日銀による経済・金融・財政政策はほぼ出尽くし、限界近くまできた。残されたのは膨大な財政赤字の累積だ。
【問】元凶は何でしょうか。
【答】金融システム危機を引き起こしている銀行の不良債権だ。不良債権を抱えているため銀行の資金供給力が落ち、健全な借り手にお金が回らず景気回復の妨げとなっている。財政出動や金融緩和が繰り返されたが、不良債権の重しでお金がスムーズに流れず、国際競争力を失った非効率な企業が生き残っている。本来、市場から退場すべき問題企業が延命しているから供給過剰は是正されず、デフレに歯止めがかからない。さらに、今や「世界工場」の中国やアジア諸国の台頭がデフレに拍車を駆けている。公共投資にしろ減税にしろ、短期的には有効需要の創出、消費の刺激に繋がるが、今の仕組みでは砂地に水をまくようなものだ。これらの繰り返しでは、新たな「失われた10年」を経験することになるだろう。
【問】打つべき手はありますか。
【答】不良債権という癌細胞の摘出と、国際競争力を失った労働集約的分野などで産業構造の転換がうまく進めば、デフレの克服や日本経済の力強い回復、雇用促進が期待できる。不良債権の本格処理に痛みは伴うが、今は、税効果会計やDCF(割引現在価値)、公的資金投入など考え得る様々な仕組みを徹底的に検討し、不良債権問題の早期解決に向けて政策を総動員する時だ。
銀行自身も、ソフトランディング路線に安住せず、本格的に身を切って自己改革しないといけない。外資に太刀打ち出来ないほど大きく遅れをとってしまった金融技術や資産運用管理をどう向上させるのか。体質的に保身術にはまってトップがらつ腕を振るえないのなら、日産のゴーン社長のように外資に経営を任せるという手もある。短期の運用資金をロールオーバーして長期で貸し付けるメインバンク制度など金融システムの見直しも経済再生に欠かせない。
【問】どのくらいの経済成長が可能でしょうか。
【答】不良債権問題の解決だけで日本経済が上向くことはないが、復活の必要条件にはなる。日本経済には潜在成長力がある。不良債権問題や産業構造の転換など構造改革がうまく行けば3%程度の成長は可能だろう。それにはまだ2年はかかる。2003年は0%から1%あたりの低成長だろう。
【問】構造改革の遅れが指摘されています。
【答】小泉首相自身にやる気はある。問題は改革のモメンタムをどう維持、向上していくかだ。小泉内閣に長期政権化するだけの安定基盤があれば構造改革は進むだろうが、党内の首相支持者はマイノリティで、支えているのは国民だけだ。日本人のメンタリティは痛みを嫌い、既得権益がはびこっているから、大胆な改革を断行するのは難しい。昨年の郵政改革、道路公団民営化改革なども失速の兆候が出てきた。やはり、大きな仕組みを変えようとしたがらない。痛みを避け、目先の利益を優先するあまり改革先延ばしを繰り返せば、日本経済はますます低迷の袋小路に陥る。
【問】税制の課題は。
【答】税の本来的機能を回復させないといけない。過去10年もの間、景気刺激を目的に減税をくり返し実施してきたが、今のままでは税収不足で必要な公共サービスを国民が受けられなくなる。税の本来的機能の回復には「税の空洞化」を是正して、必要な税収があがるよう制度を改めることだ。自民税調が、配偶者特別控除の廃止、たばこ税・発泡酒など酒税の引き上げや、消費税の免税点・簡易課税制度の水準の引き下げなどを決めたのもその一環だ。今後、資産形成として株式、債券、投資信託などにウエイトを移行する際のインフラ整備として、二元的所得税(金融所得を勤労所得から切り離して、別個に各々ひとまとめに課税)の導入を巡る論議が出てくるだろう。日本の抱えている膨大な赤字を減らすには、特殊法人などおかしな税金の使い方をしているところを整理しておく必要がある。例えば、道路公団には利益を上げて借金を返すという発想がないから、採算のとれない道路でもどんどん作っている。その結果起きたことは地場産業の衰退だ。道路工事のおかげで、優良地場産業までもが土建業にシフトしてしまった。この10年間で最も就業者が増えたのは土建業だ。630万人はいるだろう。その630万人を雇用するために不要な道路を作るという、まさに不毛な議論になってくる。
【問】減税についてはどうお考えでしょうか。
【答】日本経済に活力を与えるために、法人税率の引き下げや、相続税・贈与税一体化などを中心とした税制改革は必要だろう。しかし、減税財源をどう確保するのかが問題だ。どの政党の減税公約にも納得的な財源の裏付けがない。行革や公共事業の見直しによると言っても、具体的な方策や財源の額にまで踏み込んでいない。景気が良くなれば自然増収で補填できるという意見があるが、これも無責任過ぎる。2兆円、3兆円減税して財政赤字を出しておいて、それで将来名目成長率が上がったから自然増収で穴埋めするというものだが、過去の経緯から明らかなようにそういうことはあり得ない。デフレ下で名目所得はマイナス続きだ。名目所得が上がらなければ税収は上がらない。税率は低く、課税ベースもかなり狭くなっている。法人税は国際競争力の観点から引き上げることは出来ない。他に有力な選択肢がないとすれば、今は無理だが景気が回復軌道に乗った段階での消費税率引き上げは不可避だろう。
【問】歴史的に今はどういう時代でしょうか。
【答】第二次大戦後に世界第二のGDPを誇っていたアルゼンチンが、60年かけてデフォルトを起こすまでに没落した。逆に、日本はエコノミックアニマルと称されるまでに発展し、経済大国を謳歌した。それが今、次第に没落する素地を持っている。日本はアルゼンチンと同じ道を辿る可能性が出てきたかもしれない。メインバンク制や終身雇用制など過去の成功要因が全て裏目に出て、経済再生の足枷となって修正を迫られている。しかし、どの国にもそうした苦境があった。かつて「英国病」と言われた英国も、双子の赤字で「破産」とまで言われた米国も、我慢強く苦境を克服し経済を立て直した。日本経済にはこのままでは終わらないという根強い信頼がある。企業はいつまでもへたっていないだろう。竹中ショックを契機に危機に目覚めた銀行は、本格的改革に乗り出した。株価は下げ過ぎ。これは国際的なデフレの流れに即応したもので、日本特異のものではなく、過度に悲観することはない。
日本はアルゼンチンの道を歩むのか、それとも英米の道を歩むのか。その意味
で、ま
さに今が正念場。今頑張れば将来に希望や夢が持てるし、自ずと再生の道も開け
るだろ
う。

クイックニュースより

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