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(回答先: 消費税16%を提言、奥田ビジョンを正式発表 [読売新聞] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 01 日 20:28:54)
東京 1月1日(ブルームバーグ):日本経済団体連合会は、長期低迷の日本経済を活性化させるため、2025年度を目標年度とする新たなビジョンを発表した。幕末と第2次世界大戦の終戦に続く「第3の開国」の必要性を説くなど、経済だけでなく政治、社会に及ぶ構造改革の断行を唱えている。
同ビジョンに一貫するテーマは、経済の主導権を「官僚」から「民間」へ移すとともに、経済、社会ともに開かれた国を目指すというもの。最初に指摘したのは、日本社会の少子・高齢化に対する懸念で、それに備えて「2025年度を見据えた経済・財政・社会保障の『グランドデザイン』を提示」している。
それによると、雇用や経済成長への影響が懸念される所得課税や社会保険料にこれ以上依存せず、2025年度までの年平均の実質経済成長率が1.9%を確保するためには消費税率を18%に引き上げることが必要としている。また、このシミュレーションでは 2025年度までに就業者数が約610万人減少するが、女性や高齢者、外国人などの就業で補うと、成長率は実質で0.5%上昇し、消費税率を10%にとどめられる、としている。
こうした成長率を実現するために同ビジョンは、多方面にわたる大胆かつ戦略的な取り組みの必要性を挙げている。第1には就業者数そのものの減少に歯止めをかけることで、女性や外国人の就業促進を掲げた。第2には産業競争力の維持・強化のための技術革新を挙げ、第3に、明治以来続いている中央集権体制から地域主体の体制に変え、地域の創意工夫で新たな市場と雇用を生み出すよう、制度の再設計が重要としている。
女性と外国人の就労促進
女性の社会参加の現状については、UNDP(国連開発計画)が公表している「ジェンダー・エンパワーメント指数」で、日本は64か国中31位とかなり低位にとどまっていると指摘。女性がさまざまな分野で活躍できる環境整備が必要としている。そのため、希望すれば別姓でも法律上夫婦と認められるようにする選択的夫婦別姓の制度を整備するとともに、延長保育の拡充など仕事と子育ての両立がしやすいような環境整備が不可欠と強調している。
また外国人の就労についても、日本の活力を高めるために、いかにオープンで柔軟な労働市場を確立していくかが重要とし、同ビジョンの中で「外国人も日本でその能力を発揮できる環境をつくり上げることが求められ、日本社会の扉をより多様な外国人に開くことは必然である」と断言。 外国人への門戸開放のため、日本で学ぶ留学生の日本国内での就業を促進できるような優遇制度を創設することも検討に値する、としている。
産・学が主役
経済成長に必須な産業競争力については、「MADE“BY”JAPAN」戦略の推進を提案している。グローバルな活動によってしか日本企業の国際競争力は高まらない、とし、生産拠点を世界各地に移して、世界の力を活用しながら「日本が加える価値」を、同戦略は意味しているという。そのための方策として、専門的、技術的分野の外国人の受け入れを含む産学連携の強化などを挙げている。 さらに技術開発のダイナミズムを高めるため、国の研究開発投資のあり方を根本から変えることが必要として、「官製ナショナル・プロジェクト」よりも、「産業」と「大学」が主役となり、共通の研究目標に対して複数のアプローチを認めて競争的な研究を促すことなども提案している。
州制の導入
また、政治制度については、これから「多様性のダイナミズム」を重視する社会に転換することが重要とし、個人の多様な必要性や欲求を受け止めるのは国ではなく地域であることから、「地域の主体性を活かすよう、種々の行政権限を国から地方へ移管することを求めたい」としている。 経済発展に有効だった中央集権システムは、欧米先進国に追いつき経済大国になったことで役割を終えた、とし、これからは個人に近いところから課題を解決していく枠組みとして、中央、州(地域の広域政治・行政体)の両政府と、現行の市町村より広域的な自治体による新しいシステムを構築することを求めていきたい、という。
アジア自由経済圏
また、ビジョンでは、東アジアの連携もテーマに取り上げた。その中で、現在の欧州連合(EU)や現在検討されている米州自由貿易圏(FTAA)に匹敵するような東アジア自由経済圏構想を対東アジア経済外交の新しい基軸に据えるべき、としている。 グローバル化がもたらす果実を効果的に享受し、成長の源泉としていくことが真の国益につながるとして、中国やアセアンの急速な発展を脅威ととらえず、経済外交を再構築していくことが喫緊の課題という。 その実現に向けて必要な問題として、モノ、サービス、ヒト、カネ(資本)、情報という5生産要素の移動・流通の自由の確保と、地域インフラの共同整備、アジア通貨基金の創設、エネルギー・食料分野での域内協力や地球環境問題などの世界的問題に対する協力体制の整備を挙げている。 日本経団連の奥田碩会長は、小渕内閣時代に自身が参加した「経済戦略会議」で多くの改革案を提示したが、「その多くはたなざらしにされたまま」とし、「依然として改革のスピードは遅い」と指摘している。
このため、日本経団連はビジョンの最後に、企業人の政治意識の高揚と政治家との交流促進を目的とする「企業人政治フォーラム」の機能を強化し、「『民主導・自律型の経済社会』の実現に向けて、改革の動きをリードしていく」と、決意を示している。
東京 鈴木 偉知郎 Ichiro Suzuki
室谷 哲毅 Tetsuki Murotani