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News ID : NAA9875 12/24 12:11
2003年注目業種を占う(1)総合電機、再生か過剰債務化の岐路に
【NQN】2002年に株価が大幅下落した総合電機5社(日立、東芝、三菱電、NEC、富士通)にとって、2003年は事業構造改革を断行する「残り少ないチャンス」となりそうだ。IT需要の低迷に加え、世界的なデフレで2003年度も売上高は減少する可能性が高い。利益水準を維持するには、一段のリストラが欠かせないが、各社とも自己資本が急速に減少している。有望分野への経営資源の集中、不採算事業からの撤退を早急に具体化しないと、株価の回復は見込みにくい。
11月に出そろった5社の2002年度の業績予想は、連結営業損益の合計が5450億円の黒字と前期の4290億円の赤字から9740億円改善する見通し。もっとも、前期に1兆3900億円のリストラ費用を計上したことによる固定費削減効果が9300億円と利益回復幅の9割強を占め、手放しでは喜べない。
そうしたなか、2003年度もハイテク市況の本格回復は望めそうもない。ドイツ証券の佐藤文昭株式調査部長は、2003年の世界半導体売上高について「米国の半導体生産設備の稼働率は直近で67%。売上数量は8―9%増えるが、価格は逆に10%近く下がり、年間では1.7%のマイナス成長」と見る。総合電機5社の2002年度の連結売上高は会社予想で前期比0.5%減の26兆9900億円と2期連続の減収。市場では「2003年度も1.1%の減収を想定」(モルガン・スタンレー証券)と厳しい見方だ。
固定費削減による増益効果は一期限りで、売上高が減れば、再びリストラをしなければならない。しかし、原資となる自己資本は2002年9月末で同3月末比3229億円減少の4兆6470億円。三菱証券の試算によると、税効果による繰り延べ税金資産が2兆8473億円含まれている上、「未認識の退職給付債務が2002年3月末時点で5社合計2兆7559億円ある」(ドイツ証券)といい、利用できる自己資本はあまりない。
2002年は半導体事業の再編が相次いだが、規制緩和を受け2003年は安定収益源だった国内重電、通信部門の再編も避けて通れない。リストラ原資を資本市場から調達できなければ、銀行借り入れへの依存度が高まる。新しいビジネスモデルの構築か、あるいは過剰債務化か。総合電機業界の先行きは予断を許さない。
(稲留正英)
クイックより