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(回答先: 公的年金の市場運用、上半期に2兆円超の損失 [日本経済新聞] 投稿者 あっしら 日時 2002 年 12 月 25 日 21:35:28)
◇ 「最後の買い手」に変調?――日経金融新聞スクランブル
24日の東京株式市場では日経平均株価が3日続伸した。公的年金資金の買いが入ったとの思惑が強まり、先物主導で上昇した。公的年金は下落局面の節々での下支え役として重要性を増しているが、「最後の買い手」としての役割が十分に果たせなくなる可能性が出てきている。
「基本的には公的年金の積立金の株式運用はやめて債券を中心にすべきだ」「いや長期の年金運用には株式投資が欠かせない」厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会の年金資金運用分科会では10月から、公的年金の運用のあり方を根本から見直そうと議論を重ねている。
焦点は株式を含む分散投資を続けるか、安全性を重視して株式から手を引いて全額を国債に切り替えるか。議論は熱を帯びている。
公的年金は株式市場で大きな比重を占める。2002年の投資主体別売買動向(三市場合計、12月第二週まで)を見ると、年金資金の委託先になっている信託銀行は約1兆9400億円の買い越し。
約6600億円を買い越した外国人を引き離し、今年最大の買い手となっている。
公的年金は毎年度決めたポートフォリオに沿った資産配分を目指している。特殊法人「年金資金運用基金」が、年金資金の積立金を債券や株式で運用して調整する。
2002年度の国内株式の割合は資産全体の5%で前年度比で1ポイント高める計画。前年度末の資産約170兆円に当てはめると、国内株式市場には新規に約1兆7000億円が投じられる。
前年度末の株式資産(約6兆8000億円)の株価下落による目減り補充分(1兆5000億円前後)を含めると、今年4月以降、最大で約3兆円が株式の買いに回った計算だ。厚労省は国内株式の割合を2008年度には12%まで高める方針。
毎年平均して比率を高めるため、現状の方針のままなら2003年度には国内株式が6%程度になり、約1兆5000億円の新規資金が株式に向かう公算がある。
もっとも、これも分科会の論議次第の面がある。現在までのところ分散投資の過去の実績などから全般に株式運用継続の主張が目立つ。株式市場でも「相場への悪影響を考慮すると株式の運用廃止は考えにくい」(国内証券ストラテジスト)との見方が多い。
だが、一方ではバブル崩壊後の長期にわたる株価下落とデフレ色が一段と強まる経済状況を踏まえ、株式撤退論も根強い。株式撤退に至らないまでも、現在の硬直的な運用手法を改める可能性もある。これまでは株価下落などで資産配分が変わったら機械的に調整するに過ぎなかった。
公的年金の運用と組織のあり方の検討は小泉内閣が特殊法人改革の一環で閣議決定した事項。
組織を検討し、2004年1月の通常国会に法案を提出するには「株式投資の是非を含め、運用のあり方は来年春ごろにも方向を出す必要がある」(厚労省運用指導課)という。
2003年秋には民間の厚生年金基金の代行返上による資産返却が始まる見通し。焦点は資産返上の方法が現金か、それとも株式現物が認められるかどうか。もし現金なら「国への返還額が10兆円に達し、現金ねん出のため3兆円規模の株式売却になる可能性がある」(大和総研)。
現金が公的年金に戻っても株式運用には6%程度しか向かわず、差し引き2兆4000億円の売り圧力になる計算。現物が可能なら直接の売り圧力は弱まりそう。
ただ年金資金運用基金に組み込まれるため、その分、基金の市場からの買い付け額が減る可能性がある。年金関係者の関心が集まっている代行返上の細かい規程は「来年早い段階で案を示す」(運用指導課)という。年金資金運用分科会の論議と合わせ、今後の公的年金の動きを読むためにも、来年春に向けての議論の行方から目が離せない。
(小野利也)