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(回答先: 中国マネー、ドル安左右か――資金シフトに変化の兆し(ポジション)2002/05/29【日経金融新聞】 投稿者 hou 日時 2002 年 11 月 17 日 12:05:15)
日経金融新聞
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http://www.nikkei4946.com/
「中国銀行が香港で人民元を発行する」――。上海や香港の市場で最近こんな憶測が流れている。背景には人民元自由化の前段階として、香港市場で自由化の実験を試みるのではないかとの思惑がある。
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香港の九龍地区の観光街。香港に出張した邦銀の中国担当者は土産屋や宝石店などの支払いで人民元を扱うところが増えていることに驚いた。中国は本土外での人民元の流通を厳しく制限しているが、中国からの観光客の急増に伴い、両替商でも日本円に代わって人民元の取扱場所が急増。中国人民銀行の戴相龍総裁も三月末の来日時に「一部周辺地域でも人民元が流通し始めている」ともらした。
市場では昨年から香港ドルと人民元を巡る憶測が飛び交う。香港ドルは現在、一ドル=七・八香港ドル前後で米ドルに固定しているが、他のアジア通貨の下落で割高感が強まり、ペッグ制廃止観測が出ている。
一方、中国当局が一ドル=八・三元程度で取引を規制する人民元には、輸出競争力向上とともに、切り上げ圧力が徐々に高まる。「当局は人民元と香港ドルをそれぞれ一ドル=八元、八香港ドル程度で等価値にする狙いだ」(シンガポールのディーラー)との見方もある。
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香港は返還から五十年間は一国二制度を維持する原則があり、香港ドル廃止は非現実的。だが、ある邦銀上海駐在員は「今後人民元の流通量が拡大し、香港ドルが実質的に人民元に一本化する可能性は高い」と指摘する。
人民元に対する信認は強まっている。二〇〇一年の統計によると、中国は貿易収支、直接投資ともに三百億ドル以上の入超。外貨準備高は前年比で三〇%近く増加し、二千億ドル強に膨らんだ。みずほ総合研究所国際調査部の細川美穂子研究員は「統計で見れば、人民元の信認が高まり、切り上げ圧力が強まってもおかしくない」と分析する。
中国の為替制度に対する風当たりは強まっている。今月初めの米上院銀行委員会公聴会では人民元に批判が集中。「中国は昨年、五百億ドルのドル買い介入を実施し相場を維持した」と詰め寄る議員に対し、オニール米財務長官は「長続きしない」と答えた。中国からの安価な輸入急増に直面する日本では昨年から政財界から人民元切り上げを求める声が噴き出した。
戴総裁は再三、将来の人民元の自由化を強調しており、取引の規制緩和の方向性は間違いない。「問題はスピード」と日銀幹部は解説する。中国側は今後十―十五年かけ、徐々に通貨取引を自由化する計画という。これに対して「海外との資本取引が膨らむなかで、五年以内に自由化をせざるを得なくなると見ている」とこの幹部は話す。
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そこで香港。ハンセン銀行は「自由化のペースが通貨の需要に追いつかなければ、オフショア市場での人民元取引が増えることは不可避」と指摘、中国は香港で人民元預金を認め、香港を人民元のオフショア取引の拠点に育成する可能性があるとするリポートを発表した。人民元自由化の動向を読む上で、香港市場から目が離せそうもない。
(古川英治)
【表】人民元を巡る主な発言
▽2001年1月17日 戴相龍中国人民銀行総裁
WTO加盟後、国際収支が大きく変動すれば、元レートも弾力性を持つ必要がある
▽2001年9月5日 塩川正十郎財務相
中国も経済発展に伴って為替を世界経済に合わせていかざるを得ない
▽2001年11月13日 竹中平蔵経済財政担当相
多くの人が人民元は過小評価されていると思っている。(WTO加盟で)話し合いの場が広がっていくことを期待している
▽2002年2月18日 戴相龍総裁
人民元相場の変動率を適度に拡大する
▽2002年3月28日 戴相龍総裁
人民元取引を自由化できるほど経済力が高まるにはまだ長い時間がかかる
▽2002年4月8日 塩川財務相
これからだんだんと市場に順応した元の相場が出てくるのではないか
▽2002年5月1日 オニール米財務長官
(現在の中国の為替制度は)そう長続きはしないだろう
財務省の黒田東彦財務官は十四日、都内で開いた討論会で、中国の人民元相場について「米ドルに事実上固定されているため、結果的にデフレが中国から周辺国に輸出される」と述べ、人民元切り上げの必要性を示唆した。中国経済は「高成長にもかかわらず消費者物価が下落する異常な状態にある」と同国のデフレに強い懸念を表明した。