現在地 HOME > 掲示板 > 議論・雑談8 > 793.html ★阿修羅♪ |
|
個々の経済主体にとっては正しい選択であっても、すべての人がまったく同じ選択をとった場合は社会全体としては誤った選択となることがある。経済学で言う「合成の誤謬」である。
たとえば、ある人が貯蓄することが善だと考え、従来収入の100%を消費していたのを30%を貯蓄に回すことにし、他を消費することにした。ところが、すべての人が同様の行動をとったため、すべての企業は売上を平均で3割減少したため大半の企業が大赤字となり、大規模なリストラを実施せざるをえなくなる。従業員の多くが失職し、残った者も減給にあうこととなる…。現在の経済状況も一種の「合成の誤謬」と言えないだろうか。
上場企業の倒産が多発するような状況下では、誰しも「明日は我が身か。」と将来を不安に思い、まして年金の受給水準も減ると予想されていれば、無駄な消費を抑制しようとするのが道理である。
仮に一人当たり毎月1万円の消費を抑えているとすれば、国民全体で毎月1.2兆円、年間で14兆円の消費が消えてしまうことになる。一人あたり2万円ならば全体で28兆円。ほとんどわが国の個人消費の1割にも相当し、節約することの影響は大きいものがある。
一方消費自粛ムードの中で、国内では節約し海外旅行で散財する人も少なくない。これなどは、海外の景気に貢献するだけで、国内景気にはマイナス材料である。
個人ばかりではない。企業も経費などを極力抑制している。前年度比1割カット程度はどこの企業でも何年も実施している。安い人件費を求めて海外に生産基地を移す一方で国内の人員カットもやっている。これでは社会全体の消費が減るのは当然である。このような行動は企業の利益にはなっても国民の利益にはならないはずだ。アメリカの圧力で行ってきた経済改革が、国策として正しかったかどうか疑問に思っているところである。
こんな経済状況では景気対策として公共投資は実施すべきだとは思うが、何よりも個人消費を回復させねばならない。減税や株価上昇・賃上げなどによってみんなが数年前の消費水準に戻せば、景気はかなり良くなり失業も激減するに違いない。ケインズの言うとおり、まさに「消費は美徳なり。」である。
しかしながら、このことを理解しても実践する人が少数であれば全く効果がなく、社会の構成員の大半が継続して実践しないと景気は回復しない。そのためには国民に「みんなが消費を抑え、どの企業もリストラするのでは国全体の経済を沈滞させるだけだ。雇用を守り個人収入を増やして、安定した生活を保障すれば消費は回復する。みんなが昔のように消費をすれば昔の景気に戻ることが出来る。」と、政治家もマスコミも力強いメッセージを送り続けて欲しいものだと思う。
アメリカ追従の経済政策も通貨政策もいいかげんにして、今こそ企業のリストラよりも国民の雇用を守ることが優先されるべきだと思うのですが、皆さんの意見はいかがですか。