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(回答先: 小泉首相の「世論に従えば間違う場合もある」発言は首相どころか代議士を辞任せざるを得ない妄言 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 06 日 00:25:57)
小泉純一郎首相が5日の参院予算委で、イラクへの対応について「戦争か平和かと問われれば、誰だって平和を望む。世論に従って政治をすると間違う場合もある。それは歴史の事実が証明している」と答えた。
世論はイラクへの対応をどう見ているか。毎日新聞が3月1、2日に行った世論調査によると、米国などが現時点でのイラク攻撃に84%が反対だ。1月の調査は80%が反対であり、さらに増えた。米国を除けば、攻撃反対論は国際的にも多数を占めている。
イラク問題は、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長らが、7日に査察結果を報告し、来週中に米英が武力行使容認決議案の採決を求める構えだという。緊迫した事態に向かっている。5日の首相答弁は、武力行使容認を示唆したものだが、日本政府の方針と世論が大きく食い違ったままでいいのだろうか。首相は世論のどこが間違っているのか、国会の場でもっと説得力ある説明をすべきである。
日本政府は2月18日の国連安保理公開討論で、査察継続の有効性を疑問視し、米英の決議案採択を求める姿勢を示した。さらに、川口順子外相は今月1日、神奈川県横須賀市の集会で「軍隊があって圧力をかけている。武力攻撃しないと言ったら、イラクはまじめに対応しない」と指摘した。
イラクは安保理の命じた大量破壊兵器の廃棄を積極的に行わず、軍事圧力を受けて渋々応じていることは事実だ。現時点の武力行使に反対するフランスのシラク大統領も、米英の軍事包囲網の効果は認める。米英の負担も大きい。
だからと言って、なぜ「イラクに残された時間は限られ」(日本の国連演説)、武力行使に進む米英決議案支持しか選択肢がないのか、政府の説明では不十分だ。一連の対イラク決議は大量破壊兵器廃棄が目的である。イラクは不誠実ながら、アルサムード2の廃棄を始め、VXガスと炭疽(たんそ)菌を廃棄した証明も行うという。世論の圧倒的な反対論の一因には、説明不足もあるだろう。
米英が新たな決議なしに武力行使に踏み切った場合、深い亀裂を生むだろう国際協調態勢を、日本がどう考えるかの説明もない。
首相は5日の答弁で「北朝鮮問題を考えても、日米安保条約が大きな抑止力になっている。日米同盟と国際協調態勢の重要性をよく考えながら対応したい」と述べ、日米同盟の重要性を強調した。北朝鮮が核開発など国際社会への威嚇をエスカレートさせる情勢で、強力な軍事力を持つ米国の存在が北朝鮮に対する抑止力になっていることは現実である。
だが、同時に、韓国や中国、ロシアとの連携も不可欠である。国連での協調態勢が崩壊すれば、米国自身も望んでいる外交、平和的解決の手段は困難になる。
外交は政府の専権事項である。だが、国民の大多数を説得できずに正当性は持ち得ない。国民の支持を背に政権運営してきた小泉首相のとる手法ではないはずだ。
(毎日新聞 03-06-00:41)