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「政府紙幣」も「供給=需要」を踏まえたときに成功する
投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 18 日 20:01:53:

(回答先: 政府紙幣とインフレ 投稿者 ケイちゃん 日時 2002 年 11 月 18 日 16:35:29)

ケイちゃん、こんばんわ。

繰り返しになりますが、「政府紙幣」の発行に反対ではありません。
極論として言えば、悪性インフレになるとしても、デフレ不況よりはましなのでかまわないとも思っています。
また、「政府紙幣」は、貨幣の本質を人々が知る機会にもなるので好ましいと思っています。

問題にしているのは、「政府紙幣」も、近代経済システムに通底している経済論理を超えるものではないが故に、「供給=需要」原理を超えることができないということです。

「政府紙幣」政策は、「需要=供給」という逆方向の処方箋です。
財は、生産(供給)してから消費(需要)されるものです。

需要側で引っ張る政策は、常に、インフレもしくは資産バブルの芽を孕んでいると言えます。
供給を超えた需要はインフレをもたらすものであり、企業は常に価格上昇を通じた利益拡大を企図している存在です。そして、獲得した税引後の利益を再投資する機会がなければ、それを投機的経済取引を通じてでもなんとかして増やしたいという願望を持っている存在です。

「政府紙幣」政策は、経済価値観が市場原理的自由主義であれば、悪性インフレや資産バブルになる恐れが強い政策なのです。

国債発行の赤字財政支出による「需要=供給」政策は利払いと償還が歯止めになりますが、「政府紙幣」にはそのような歯止めがありません。
企業も無自覚であったかも知れませんが、政府の「需要創造」政策の限界のなかで、利益の労働分配率の上昇で需要の拡大に務めるとともに、それを取り返すために生産性上昇に励んできました。しかし、政府が打ち出の小槌を持つことで、そのタガが外れて努力なしの利益増加に期待することも考えられます。
そのような企業を後押しする政治家も、打ち出の小槌を無分別に使うことを求めるでしょう。(現在の財政状況でも10兆円の補正予算が叫ばれているくらいです。再生条件を整えた段階で最後の推進力として財政(歳入減)を使うことに反対ではありません)

供給を超える需要が輸出以外であれば国民経済にインフレという弊害をもたらすということを念頭に置いて「政府紙幣」を活用しなければなりません。

「今の日本の産業構造はそこまで空洞化は進んでいないので、これを食いとめる意味でも政府紙幣の投入は早ければ早いほど良い」というお考えに全面的に賛成します。
遅くなればなるほど、悪性インフレの条件が根を広げることになります。

「過去日本は悪性インフレを退治してきた(過去できて今度はできないという理屈は無い)」という見方は一歩踏みとどまる必要があります。70年代と現在では国際環境と経済価値観が異なっています。当時の日本の立場が中国で、当時の欧米諸国の立場が日本になる可能性があるということです。


「政府紙幣」の発行という実験を通じて、「供給=需要」の論理が理解されることになるかもしれません。(そうであれば、早い段階での悪性インフレも悪くはないのかもしれません)

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