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(回答先: 正規軍を改編して遊撃戦部隊を！ − ウェルカム！米兵作戦 − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 21 日 21:45:04)
まるで北朝鮮の軍事ドクトリンそのままですね。
第八特殊軍団、正規軍内に軍団単位でゲリラ戦部隊を抱えている国は北朝鮮のみ。
でも、軍事科学者で非正規戦の効能を最初に説いたのはクラウゼウィッツの戦争論だったと思うが、それはともかく正規軍相手にはこれが一番効果的な方法なのかもしれない。
但し、それには次の３つの条件がある。
第一に、非正規戦といえども、武器弾薬の供給者がなければならない。
ハマスやヒズボラがなぜ非正規戦を継続できるかといえば、前者はエジプト政府の黙認のもと、シナイ半島から地下トンネルを掘ってイラン・イラクからの武器を運び込んでいるからで、後者についてはレバノン宗主国のシリアと、シリアの許可のもとイランが武器を供給しているからである。因みに、ヒズボラへは中古武器の売却という形でフランスがレバノン経由でも行っている。
これらの組織に限らずとも、非正規戦でアメリカ軍に勝利したベトコンを見ても、ホーチミンルートを利用した北ベトナム政府・軍からの補給があったればこそ、強大なアメリカ軍と戦うことができたのである。
つまり、非正規戦といえども、補給なしには長時間続けられないのである。また、ベトナム解放には最後に北ベトナム正規軍の介入が必要であったことや、朝鮮戦争で中国人民解放軍正規軍師団の投入があったればこそ、休戦条約までもっていけた戦史を見れば、非正規戦のみで勝利を得ることはできないことは史実が証明している。
仮にアメリカが音をあげて出て行っても、第一次アフガン戦争のように、一旦ゲリラ化した部隊は軍閥となって割拠し、新たに内戦が始まるだけのことになってしまう。
さて、イラクがフクロにされ、それに非正規戦で対抗したとして、自国が攻撃される危険を犯してまで、誰がイラクに武器を供給するのか？流石に補給が途絶えた後、竹槍だけでは非正規戦はできない。
第二に朝鮮半島やベトナムと違って、イラクは開けた地形の国で、山岳や湖沼といったゲリラの隠れることができる地の利に乏しい。
アメリカがベトナムで枯れ葉剤を使ったのは、正に非正規戦を戦うベトコンの隠れ家と地形・植生に隠された補給路を遮断する為であった。
イラクにはこういったものが全くない。
第三にイラク国民のフセイン大統領への支持と愛国心は連動したものであるのかどうかという問題である。
非正規戦を市街地でも行うためには、特に住民の支持が必要不可欠である。
この際問題になるのは、イラク国民にも人並みの愛国心があるとして、それがフセイン大統領と同義であるか？といえばそれは全然そんなことがないのである。
年がら年中クーデターの心配をせねばならず、苦言を呈する部下は最後は銃殺するか亡命。そして今まで味方だった人物が敵になる。
親衛部隊以外に政治的に信頼できる兵力を持たず、その親衛隊ですら身内を司令官にしている。
第一次湾岸戦争の際、アメリカ陸軍はほとんど戦闘らしい戦闘をイラク正規軍と行わなかった。
猛烈な事前空・砲爆撃を受けたイラク軍の前線の兵士達は、アメリカ軍の戦車が見えた途端に白旗を掲げて投降したからである。
唯一アメリカの戦車師団と組織的戦車戦を行った部隊や、アパッチヘリの大群に襲われて「虐殺」が全世界に放映された部隊は、フセイン大統領個人への忠誠を誓っている一部部隊と共和国防衛隊だけであった。
つまり、イラク軍の大部分の徴兵された兵士が戦力の大半を占める部隊は、第二次大戦時のフランス軍部隊や、イタリア軍二線部隊と同等か、さらに酷い戦意しか持っていないと見て良い。
このような連中が、例え命令されたからといって、ゲリラ線を行うものか。
彼らの一番大切なものは祖国でもなければフセインでもない。
宗教はそうかもしれないが、それ以上に妻であり、子供であり、両親であり、仕事であり、金儲けである。
非正規戦を行う者はイスラエルで自爆している連中や、北朝鮮の第八特殊軍団兵士、古いところではちょっと違うが日本の特攻隊員のように、これらの「日常」よりも、祖国なり、民族やり、元首なり、より上位の概念が行動の規範になる戦士でなければならぬ。
私は以上の理由から、北朝鮮ではアメリカ軍に対して非正規戦は有効かもしれないと思うが、イラクでは困難であると考える。
以上の３点についてあっしら氏はどう思うか？
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。