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(回答先: Re: 米国の景気は後退する 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 19 日 12:40:12)
少し専門的なことを述べましょう。米国が世界中から借金をして(つまり米国債を買わせて)債務超過になっても米国債が暴落しないのは、純経済学的理由によるわけではありません。米国の軍事力、基軸通貨としてのドルによるものです。宇野学派はこういう米国を「基軸帝国主義」と呼んでいます。
橋本元首相が「あまり米国が日本をいじめると、日本が保有している米国債を売却するぞ」と思わす喋り、米国の大ブーイング
を浴びたのも「タブーの虎の尾」を踏んだためです。橋本はもちろん、「日本が米国債を売れば、大暴落が起き、ドル危機を招く」というブラフをかましたかったわけですが、米国からみればこれは「宣戦布告」と同じ、と取られたわけです。ドルが基軸通貨として通用しており、世界中の他の通貨がドルとリンクしているのも(厳密には、中国の元はペッグ制という一種のセミ固定相場制ですので、ドルと完全にはリンクしていませんが、WTO加盟でいずれ、ドルリンクの変動相場制へ移行せざるを得ないでしょう)、米国の経済力と軍事力、即ち「世界支配力」がバックにあるためです。日本も橋本時代にマハティールの言い分に乗る形で、円経済圏を追求する動きをちょっと見せましたが、あっという間に米国に潰されました。
この基軸国家の力が衰えないと、貿易収支等がいくら赤字になっても、国債発行で世界中から借金できて、ファイナンスできるわけです。なにしろ、世界一の米国債の保有国であるわが国も、これを全く売却できないわけで、これは「経済原則」とは何の関係もない政治力学、軍事力学の世界の話です。この基軸国家がどのように崩壊するかを解明することこそ、わが国にとっての最大の安全保障課題でしょう。日本は米国、特にその弱点の研究が足りない。