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中国遼寧省瀋陽市の日本総領事館で8日、北朝鮮住民らしい5人が中国武装警察官に連行された亡命騒ぎは、国際的な北朝鮮住民亡命支援組織の手助けと、そこから情報を得たマスコミとの「連携」によって、「事件」となった。中国、北朝鮮、韓国、さらにNGO(民間活動団体)が絡み、国際世論の“監視”の中で行われる北朝鮮住民の在中国外国公館駆け込みに、日本も巻き込まれた。(北京・杉山 祐之、ソウル・浅野 好春)
今回の亡命騒ぎの一部始終は、韓国の聯合ニュースが撮影し、AP通信などによって世界中に配信された。中国の警官に拘束されて、苦しそうに顔をゆがめる北朝鮮住民の表情まで伝わった。どうしてこんなことが「可能」だったのか。
北朝鮮亡命者を支援する韓国内の民間団体が、あらかじめ聯合ニュースなど韓国マスコミに通報した。カメラマンは、日本総領事館の玄関前に張り付いて“事件“が起きるのを待った。
9日付の韓国紙、東亜日報によると、事件を「主導」したのは、韓国キリスト教会の牧師が代表を務める民間団体「拉致被害者、北朝鮮脱出者の人権と救命のための市民連帯」などで、先月から計画を練っていたという。
「市民連帯」スポークスマンは今回の事件の目的について、中国国内で北朝鮮脱出者への取り締まりが強化されていることを指摘したうえで、「中国当局がどんなに脱出者を監視、警戒しても、亡命強行が続くということを全世界に示すためだ」と述べている。
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韓国の聯合ニュースが、写真、映像付きで伝えた現場状況は生々しい。
8日午後2時(日本時間同3時)ごろ、通行人を装った5人は、総領事館に向けて突入した。門には、人ひとりが通れるほどの透き間がある。
最初に男性2人が領事館敷地内に走り込んだ。虚を突かれた警備の中国武装警察官が急いで制止に入り、続く成人女性2人を取り押さえた。そのうちの1人は、背中に2歳の女児をおぶっている。突入に失敗した女性は門にしがみついて泣き叫んだ。警察官がその手をふりほどき、3人を警察官詰め所に押し込んだ。
日本人か中国人かは不明だが、総領事館スタッフ数人と、ビザ申請に来たらしい中国人ら、通行人が、この様子を見ていた。
館内に入った男性2人もやがて、連れ戻され、5人は警察車両で公安局に連行されていった。その時も、泣き叫ぶ声が聞こえたという。5人の駆け込みは失敗した。
聯合ニュースは、「消息筋」の話として、「中国公安当局者が総領事館内に入り、職員と見られる者と話をした後、侵入した2人を連れだした」と報じ、連行が日中間の合意の下で行われたとのニュアンスを伝えた。しかし日本側は、「(双方合意の連行は)絶対にありえない」(在北京日本大使館幹部)としている。
(5月9日13:35)