パレスチナ問題の根は途方もなく深いことを示す本が最近、出版されました。原書房から出た「出エジプト記」というタイトルのフランスの研究者の本です。
出エジプト記は、ご承知のように、モーゼにひきいられたユダヤ人が紅海を渡って(例の海が真っ二つに割れるやつで、米国のユニバーサル・ステュジオでは、このシーンを再現しています。小生は大阪のUSJは未見)アラビア半島へ脱出する(エクソダス)いきさつをまとめたユダヤ民族の「聖典」のひとつです。
この原書房の「出エジプト記」によると、ユダヤ民族の起源は、何とエジプト後期王朝の「アマルナ革命」で知られるイクアナトン(旧名はアメンホテップ4世)時代の中産・下層階級の1集団だそうです。原典の「出エジプト記」のアラム語の研究から
こういう結論を導き出したようです。アラム語はイエスも喋っていた、といわれており、ヘブライ語のルーツともいわれています。
こうなると、ユダヤ問題はキリストどころか、クレオパトラもシーザーも、アレキサンダー大王も歴史に登場するよりずっと以前(なにしろイクアナトンは紀元前1400年ごろの人物です)にルーツがあることになります。ほとんど「世界史そのもの」というわけで、誠に「天網かいかい、疎にして漏らさず」というか、「因果は巡る」というか、4000年近い歴史の糸のもつれをどうほどくか、というアポリアに直面しているわけです。
小生はもちろん、2000年も前のソロモンとシバの女王の国を再現したい、というユダヤ民族の言い分と、これをダブルスタカーンダードで認めた英国に責任がある、とは思いますが、今のイスラエル国民を再びダイアスポラせるのも現実的とは思えません。
どうやら、イラク攻撃で頭がいっぱいだったダブヤも、重い腰を上げ始めたようですが、皮肉っぽくいえば、パレスチナ問題がこじれればこじれるほど、米のイラク攻撃の抑止力になるわけで、シャロン・フセイン連合(もちろん。冗談ですが)と勘ぐれないこともない。
しかし、ダブヤは年頭教書では、原子力発電の強化によって、石油依存を薄め、中東がどうなっても、米国のエネルギーは守る、と言っていますので、パレスチナ情勢もあっと驚く展開は今後も続くでしょう。
シャロンが「アンゴルモアの大王」ではないか、ハルマゲドンがノストラおじさんの予言より3年ほど送れて的中するのではないか、という声も出始めています。そういえば、ダブヤが時々見せる途方もなく暗く冷酷な表情を見ていると、「ひょっとしてコイツがオーメンの”反キリスト”だったのか」という気がしないでもありません。まあ、終末待望論者にはワクワクする情勢でしょうが。