(回答先: Re: ユダヤの起源は4000年前 投稿者 ビルダーバーグ 日時 2002 年 4 月 09 日 13:05:04)
しつこくて恐縮です。アマルナ革命というのは、それまでのオシリスなどの多神教(自然神崇拝)に代わって、アトンという絶対神を信仰する一神教らしいです。エジプト後期王朝の色んな矛盾を解決しようと、イクアナトンが考え出した一種の「上からの宗教革命」ですが、うまくいかず、短期間で昔に戻ったようです。しかし、世界初の一神教革命といわれ、強烈な一神教であるユダヤ教を今日も信仰しているユダヤ人の起源がこの時期だ、というのも何となく分かるような気がします。
それから、以前にも紹介しましたが、碩学の湯浅赳男・元新潟大教授によると、ユダヤ人が欧州で嫌われた最大の理由は、金融ビジネスに従事していたからではなく、奴隷売買を主要なビジネスにしていたため、ということです。
まあ、映画の「ペンハー」や「スパルタカス」そのリメイクの「グラデュエーター」を見ても分かる通り、古代以来、民族集団間の戦争に負けた集団の一部は奴隷化されていたわけで、ユダヤ民族以外にも、奴隷売買をしていた連中はいっぱいいたことでしょう。しかし、ジプシー(最近はロマ民族というようですが)と並んで、欧州やその周辺地域の漂白民族であったユダヤ民族は、シルクードでの交易商人的仲介業で生計を立てていたことは十分、想像されます。
民族対立というのは、本当に根が深く、小生は米国で長期間、生活していたことがありますが、リッチな白人の高級住宅地として有名なサンタモニカでも、フランス系アメリカ人とイギリス系アメリカ人の対立が今もあり、さらにイギリス系アメリカ人の中でも、スコットランド(スコティッシュ)系、アイリッシュ系、ウェールズ系など先祖の出自によってまだ、微妙な対立があるそうです。この話を教えてくれたのは、サンタモニカで30年、歯医者を営んでいるパーフェクト・バイリンガルの日本人で、出自による英語の発音の違いが分かるそうです。もちろん、小生には、全く分かりませんでしたが。ただ、サンタモニカには、アイリッシュパブが何軒かあり、へえーっと思ったことはあります。
ついでに、少しきわどい話を披露しますと、コンドリーサ・ライスのようなアフリカ系アメリカ人が白人(WASP)以上に激しいパトリオティストになるのは、実は人種問題がからんでいる、と思われます。何しろ、米国の経営者のうち、アフリカ系アメリカ人の占める比率は0.1%で、エスタブリッシュにのしあがっていくのは、大変です。相当の戦闘性が必要で、従ってのしあがった人は極めて攻撃的なパースナリティになることが多いようです。
ただし、勘違いしてもらいたくないのは、米国特有のダブルスタンダードがこの問題でも働いていることです。白人とアフリカ系アメリカ人の間には、もちろん、大きな差別がありますが、しかし、どちらもアメリン国民(アメリカン・シチズン)です。ですから、92年のLA暴動のように、アフリカ系アメリカ人が韓国系アメリカ人の商店等を襲撃したことについて、白人は「アフリカ系アメリカ人の居住地区に勝手に進出してと、荒稼ぎし、アフリカ系アメリカ人を雇用しようともしない韓国系アメリカ人の方が悪い」とほとんとがアフリカ系アメリカ人の肩を持ちます。最近、米国に流入してきたラテン系やアジア系に比べて、400年近い以前から米国に住んでいるアフリカ系アメリカ人は、白人にとって「はるかに親しい仲間」なのです。日本からの留学生などが、「風とともに去りぬ」や「アンクル・トムズ・ケビン」などのイメージで黒人にシンパシーを抱いて新設にしようとすると「日本人は英語が下手だ」「ヒトの国に勝手に来るな」などと言われ、ガックリする、というケースがよくありますが、当然のことながら、アフリカ系アメリカ人もアメリカ国民であることに強い誇りを抱いており、アメリカ国民でもない日本人留学生にへたな同情をされると、かえって腹を立てるのです。
この辺は実に微妙かつ深層心理的ファクターでもあり、パレスチナ問題同様、一種の「歴史の業」の要素があります。米国の諸流派である英国系アメリカ人の間でもスコテッシュとアイリッシュの微妙な対立が今だにあるようでは、民族問題の解決には暗澹たる気持ちにならざるを得ません。ただし、以外にしられていませんが、米国における最大の白人集団は、ドイツ(プロシャ時代を含む)系であり、シカゴや中西部はドイツ系とスカンジナビア系が最大集団です。だから、民族の出自からいうと、第2次世界大戦は、ドイツ系同士の戦争といえないこともありません。