【ワシントン布施広】
フランクス米中東軍司令官は29日、ペルシャ湾岸地域における米軍の指揮管理系統を強化していると述べ、米軍駐留への反発が強いサウジアラビアから弾薬や装備を移転していることを明らかにした。司令官は対イラク攻撃の準備との見方を否定したが、米軍はクウェートやカタールへの駐留に力点を移し、機動性を高める再配置を続けている模様だ。
昨年10月から始まったアフガニスタン攻撃で、サウジは米軍への基地提供を渋り、両国関係の悪化が伝えられていた。司令官は会見で、米・サウジ関係は良好であり、弾薬や装備の移転は約1年半前から始まったと述べ、アフガン攻撃をめぐる摩擦が移転の理由ではないことを強調した。
「対イラク攻撃の準備か」との記者団の問いに対し、司令官は「そうではない」と明確に否定した。その一方で「我々は域内で指揮管理能力の改善強化を続けている」と述べ、サウジからカタール、クウェートなどへ装備を移転しても「驚くに足りない」との見解を示した。
サウジは91年の湾岸戦争時、米軍の駐留拠点となったが、イスラムの聖地メッカ、メディナを擁する国だけに、米軍駐留への国内的な反発も強まっている。療養中のファハド国王に代わって実質的に国政を担当するアブドラ皇太子は「民族派」とされ、米軍駐留に難色を示しているとの見方が強い。
[毎日新聞3月30日] ( 2002-03-30-11:40 )