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(回答先: <カドミウム>複数の米を混ぜて検査 「汚染米」見過ごす恐れ(毎日新聞) URL 投稿者 てんさい(い) 日時 2002 年 7 月 10 日 23:19:31)
カドミウム:コメ安全基準強化 低濃度で障害も 厚労省方針
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厚生労働省は、富山県神通川流域で発生したイタイイタイ病をきっかけに設けられた米のカドミウム濃度の安全基準(1ppm未満)を強化する方針を固めた。同省は「現行基準でも問題はない」としているが、食品の国際規格を決める国際機関「コーデックス委員会」が初の基準を「0・2ppm」とする方向で検討しているため、改定は避けられないと判断した。見直しは70年10月の制定以来初めて。国内外で低濃度のカドミウムによる健康影響を示すデータが公表されており、研究者からは厳格な基準を求める声が上がっている。
現行基準は、食品衛生法に基づき、カドミ濃度が1ppm未満の米だけを安全としている。基準を超えるカドミ米は自治体が買い上げて焼却し、これとは別に0・4〜1ppmの米も「消費者感情に配慮する」として食糧庁が買い上げ、工業用原料に回している。
しかし、80年代以降、低濃度のカドミウムの健康影響を示す研究結果が国内外で相次いで出された。
千葉大医学部の能川浩二教授(衛生学)らが、富山、石川県の鉱山下流のカドミウム汚染地域で、60〜80年代に数千人規模で行われた三つの健康調査の結果を分析した結果、食べている米のカドミ濃度が0・1ppm付近を超えると、腎臓に障害が出る率が高くなっていた。
また、67〜71年に神通川流域に住む50歳以上の女性598人を対象にした調査データを、能川教授が改めて分析した結果、0・3〜0・49ppmの米を食べていた258人の7%がイ病の認定患者で、22%は腎臓障害の症状がみられた。
能川教授らのデータを踏まえ、コーデックス委員会は「0・2ppm以下」を安全とする案をつくった。同委員会は国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の下部機関で、その基準は、世界貿易機関(WTO)が各国の安全基準が非関税障壁となっているかどうかを判断する際の指標になる。
厚労省は「現行基準に問題はない」としながらも「コーデックス委員会の動きもにらんで見直すことにした。現在、カドミウムの人体への影響に関するデータを集めるなど、独自の毒性評価を進めている」と話しており、5月中に評価の調査結果を発表し、その後、審議会を設けて来年度中にも新基準を定める見通しだ。
新基準は0・2〜0・4ppmの間で検討されるとみられる。引き下げ幅が大きいとそれだけ汚染米が増え、焼却や汚染米が見つかった農地の土の入れ替えなどが必要になるが、能川教授は「研究から推定される米のカドミ濃度の安全値は0・1ppm程度だ。基準はできるだけ厳格に検討すべきだ」と話している。【カドミウム汚染取材班】
◆解説 基準見直しの十分な説明を
30年以上前にイタイイタイ病対策としてつくられた米のカドミウム濃度の安全基準(1ppm未満)が、初めて見直されることになった。しかし、国はいまだに現行基準の正当性を主張している。それならなぜ基準を見直すのか。今まで私たちが食べていた米は本当に安全なのか。基準見直しにあたっては、十分な説明が求められる。
日本は安全基準を「1ppm未満」とし、カドミ濃度がこれを超える米は焼却し、0・4ppm以上のカドミを含む「準汚染米」も買い上げて流通させない対策をとってきた。1ppm以上の汚染米が出た農地は土壌入れ替えの対象地となり、現在、22府県94地域の6266ヘクタールが指定されている。
しかし、韓国は00年から米のカドミ濃度の安全基準として0・2ppmを採用し、欧州連合(EU)は4月5日、安全基準を0・2ppmとする規則を発効させた。ほかの多くの国も0・1〜0・5ppmを採用しており、コメを主食にする日本の規制の甘さが際立っていた。
日本の基準は、カドミウム汚染下で働く人についての外国の安全基準や、マウスや犬にカドミウムを摂取させた実験の結果などを根拠に算出したとされる。しかし、専門家の間では制定当初から「汚染された環境で作業する人と一般人は同列に論じられない」などの疑問が出ていた。
しかし、基準の見直しは、焼却する汚染米や、土壌改良が必要な農地の増加につながるため、国は基準の大幅な引き下げには慎重だ。
食糧庁の調査では97、98年産米の3・2%はカドミ濃度が0・2ppmを超えていた。この数字を単純に当てはめると、0・2ppmが新基準になった場合、全国で新たに約30万トンの米が基準を超え、焼却に回されることになる。土壌入れ替えの対象地も一気に10倍以上の8万ヘクタール程度に拡大する恐れがある。
しかし、一度人体に入ったカドミウムは排出されにくく、長期間人体に悪影響を及ぼす。世界に慢性カドミウム中毒の恐ろしさを知らせたイ病の発生国として、国際的に恥ずかしくない基準を示せるかどうか。米のカドミ基準は、食品安全行政がBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)問題で失った信頼を取り戻せるかどうかを占う試金石でもある。【カドミウム汚染取材班】
イタイイタイ病
大正時代ごろから、富山県の神通川中・下流の住民に多発し、患者が全身の激しい痛みを訴えることから命名された。旧厚生省が68年、上流の三井金属神岡鉱業所(当時)が排出したカドミウムによる汚染田で作った米や、汚染された水を飲食したことによる慢性カドミウム中毒が原因とする見解を公表。カドミウムに濃厚に汚染された地域に居住する▽尿細管障害がある▽骨粗しょう症を伴う骨軟化症――などの認定基準を定めた。認定患者は3月末現在で185人。うち生存しているのは5人。
[毎日新聞5月22日] ( 2002-05-22-11:51 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200205/22/20020522k0000m040223001c.html