国際通貨基金(IMF)のケーラー専務理事は、世界経済は回復しつつあると述べ、米国のリーダーシップにより、昨年9月11日の対米同時多発テロ攻撃に続いたリセッション(景気後退)の長期化が回避されたことがその要因だと指摘した。
ナショナル・プレス・クラブでの講演で述べたもの。
同専務理事は、「9月11日(のテロ攻撃)が世界経済を長期的に押し下げなかったのは明らかだ」と述べた。
さらに、「これは主に、政策金利引き下げと減税を実施した米国のリーダーシップによる勇気ある決断に起因するものだ。米経済は現在、回復が進行中で、すでに多国の経済に好影響を与え始めている」と語った。
そのうえで、現在の問題は、「米経済の回復がどの程度の勢いを伴い、どの程度持続可能かだ」と述べ、企業収益の不確実性や石油価格の変動、中東などの政治的緊張がリスクに含まれる、と指摘した。
ケーラー専務理事は、現在の見通しを考慮したうえで、政策当局者は短期的視野から長期的視野に焦点を移すべきだ、と述べた。具体的には、米国は財政・国際収支赤字の再現を阻止し、欧州は潜在的な経済成見通しを押し上げるために必要な改革を実行することだ、と指摘した。日本について、ケーラー専務理事は、リセッションが底打ちしつつあると期待しているが、政府は不良債権危機に取り組み、企業セクターの改革を実行しなくてはならない、と述べた。