【ロンドン福本容子】イラクのフセイン大統領が原油輸出の一時停止を発表したことを受
け、ロンドンの北海原油先物相場は8日、指標価格が一時、5月渡しが一時、1バレル=2
7ドル台半ばまで急伸した。中東情勢緊迫化で価格が上昇傾向にある中での発言に、市場
が敏感に反応したもので、原油価格の続伸は世界経済の回復に水を差す心配もある。
イラクの輸出量は現在、日量約170万バレルで、仮に輸出停止されても、世界最大の原
油輸出国のサウジアラビアを中心に生産余力があるため、短期的に世界の原油供給に支
障が生じる可能性は小さい。パレスチナ情勢の緊迫化を受けて、サウジは輸出量を増やす
対応をしているとみられる。
しかし、反米姿勢を強めるイランなどがイラクに追随すれば、OPEC(石油輸出国機構)の
足並みの乱れと受け取られ、投機筋を中心に買い注文が増え、価格が続伸する可能性もあ
る。