全国銀行協会の山本恵朗会長(富士銀行頭取)は19日の記者会見で、大手銀行への資本再注入について「各行は公的資金を受け入れないで自立し、(前回注入分の)公的資金を返していくという姿勢で臨んでいる。不況で不良債権が増加しているから公的資金注入を、という単純な話にはならない」と述べ、改めて否定的な姿勢を示した。
山本会長は「資本注入については3つの誤解がある」と訴えた。誤解とは(1)一斉に資本注入すれば市場に安心感を与え株価が回復する(2)不良債権を処理するための原資の制約がなくなる(3)貸し渋りを緩和する――の3つ。山本氏は(1)については「それで企業の債務問題が解決するわけでなく、一株利益の希薄化も起こる」とし、(2)には「不良債権処理は当初予定を上回るスピードで実施中。債務者の業況が急速に悪化するなかで銀行は必要と判断される引き当てを追加し、業績予想に反映している」と反論した。