(回答先: 「米は景気後退していなかった可能性」 オニール米財務長官 共同 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 3 月 06 日 18:59:58)
オニール財務長官は、よくご存じであるはずの「デフレ状況の実質プラス成長は、インフレ状況の実質マイナス成長よりも、“たちが悪い”不況である」という経済論理をわざと無視した発言をしている。
「インフレが抑制されたこと=インフレであることに変わりなし」と「デフレ」とはまったく違う経済事象である。
昨年10〜12月期の米国経済が、デフレ状況だったことは公表されている。
(日本の新聞では、10〜12月期が0.3%のデフレだったことは報じられているが、その後GDPを+1.2%上方修正したのだから、実際は1.5%のデフレだったのだろう)
しかし、デフレ状況では最も重要な指標である「名目成長率」はきちんと公表されていないようだ。
修正前の実質成長率は0.2%だから、0.2−0.3=−0.1で、米国経済の10〜12月期の名目成長率は「マイナス0.1%」である。
デフレ状況でも、名目成長率がプラスであれば、まだ“それなりの救い”がある。
日本は、95、96年と財政支出をじゃぶじゃぶ行って、デフレ下で名目成長率をプラスにした。(このツケが厖大な国家債務をもたらした)
日本の「バブル崩壊」後の長期不況が何に起因しているかと言えば、デフレ状況を放置しているからである。(放置しているというか、政策でさらにデフレを深めている)
身をもって経験している日本人なら、デフレがどれほど危険な経済状況かわかっているはずである。
下の表を見てわかるように、1998年以降じゃぶじゃぶ財政支出を行っても(1997年から1998年夏までの橋本政権はやや抑え気味)、名目成長率でプラスを達成できていない。
1999年の実質成長率はプラスである。しかし、ご存じのように、また、失業率にも現れているように、深刻な不況だったのである。
日本は、1998年から「デフレスパイラル」に陥っているのだ。
先日アップしたように、オニール財務長官やグリンスパンFRB議長といった“詐欺師ご一行”の言説に騙されて、米国株式市場に“買い手”として投資しようなんて思わないように忠告する。(それでも米国株式を購入する投資家は、半年もしないうちに投資額の半額を“奉納する”ことになる)
米国株式を保有している投資家は、3月中に売ってしまうこと。
連邦政府やFRBが“買い”を煽ってくれている今が最後の売り時である。
※ 銀行や生保その他の投資家が株式投資で損するのはいっこうに構わないのだが、現在の政府だとそのツケを国民に押しつけるからこのような本旨に背く書き込みを行っている(笑)
(詳細は、hhtp://www.asyura.com/2002/hasan7/msg/621.html を参照)
[日本のGDP推移と失業率]
名目 実質 デフレータ 失業率 名目がマイナス
1990 7.9 5.3 2.4 2.1
1991 6.2 3.1 3.0 2.1
1992 2.6 0.9 1.7 2.2
1993 1.0 0.4 0.6 2.5
1994 1.1 1.0 0.1 2.9
1995 1.2 1.6 -0.4 3.2
1996 2.6 3.5 -0.8 3.4
1997 2.2 1.8 0.4 3.4
1998 -1.2 -1.1 -0.1 4.1 ◎
1999 -0.6 0.8 -1.4 4.7 ◎
2000 4.7
※
早く2000年と2001年のデータを公表してくれ(笑)
総務省は、2000年は四半期別のみで年データを“秘匿”している。
2002年の3月にもなっているのに、2001年第4四半期のデータも、2001年のデータもまだ公表していない。
データを公表できない事情があるんでしょうがね(笑)
しかし、経済学者や経済評論家は、よく文句を付けないものだ。