「財政を出し渋ってはいけない。2002年度の予算成立後、新たな財政際策を考慮するよう自民党としておっしゃっていただきたい」−−。堺屋太一・内閣特別顧問(元経済企画庁長官は)は6日午後、自民党の国家戦略本部で講演してこう進言した。
堺屋氏は「金融独走の政策は危険だ。金融と財政を均衡させて対応しなければならない」と指摘、「経済再建まではレーガンやサッチャーがやったように、5年から8年は財政のアクセルを踏み続けるべきだ」と語り、財政政策の重要性を強く訴えた。
また堺屋氏は国債市場の動向について、「金利は今1.6%ぐらいだが、10年物国債のイールド曲線が横ばいになっているのはむしろおかしい。低すぎるぐらいだ。3%ぐらいでもおかしくない」と強調した。
その一方で、ムーディーズなど民間格付け会社の日本国債の格付け引き下げについては、「今の国債は非常に健全性がある。(民間格付け会社の格付けは)あくまで投資家向けのものにすぎず、あれを気にしていたら、とても(政府は)国家運営などできない。気にすることなどない」とこき下ろした。
また金融システム安定化策については、4月のペイオフ(定期預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)解禁以降は「6カ月ごとに全金融機関自らが経営状態の情報公開をするとともに、必要ならば公的資金注入の申請をすべき」と促した。
このほか、金融機関は現在の法人単位への融資を改め、事業単位で融資する「プロジェクト・ファイナンス」を推進すべきだと強調。このためプロジェクト・ファイナンスを受けた企業への優遇税制の必要性も唱えた。