(回答先: 「未達対策」と田谷委員、同床異夢の国債買入で説明責任に疑問(横浜 3月6日ブルームバーグ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 3 月 06 日 19:52:21)
日銀が当座預金残高を10兆円〜15兆円としたのは、不況対策ではなく、あくまでも“金融危機”に備えるための措置である。
「デフレ対策」という観点で言えば、商業銀行が、貸し出しや投資を行わずに、15兆円近くも利子が付かない日銀の当座預金に日銀券を預けていることのほうが問題なのである。
商業銀行は、日銀から金を借りろと言われるから無理に借りてそれを当座預金にしているか、万一に備えて当座預金を積み上げているかである。
長期国債の買い入れ額増額も、商業銀行の“前向きな”日銀券需要に応えるための措置ではなく、“長期金利上昇抑制”・“銀行救済”・“金融危機対応”である。
月間長期国債発行額が1兆7千億円で日銀の月間買い入れ額が1兆円であれば、国債の58.8%を日銀が直接購入しているようなものである。
銀行は、リスクが高い長期国債よりも、リスクがほぼなく資産構成も改善される短期国債に切り換えているのである。
日銀が貸し付けをしたいのにそれに応じる商業銀行が少ないという「札割れ」が起こっているのは、日銀が“バブル期”の商業銀行のように無理な貸し付けを行おうとしているのか、そして、いかに商業銀行の資金需要(貸し出し意欲)がいかに低いかを示すものである。
1年前の日銀当座預金残高は4兆3千億円くらいであり、現在は、その3.5倍も積み上げている(使われていない)のである。
日本は、日銀と商業銀行のあいだで「国債と当座預金」を駆使した日銀券のやり取りをするしかないほどの深刻な不況でありながら、“大手銀行の救済”だけはしっかり進めているという現状にある。
もっと安価にデフレを解決できる政策があるのに、それを思いつかなかったり、それを実行しない統治者は、“無能”か“自国破壊者”である。