日本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日本製鉄社長)は6日午前、ブッシュ米大統領が決定した鉄鋼製品への緊急輸入制限措置(セーフガード)を受けて、談話を発表した。同会長は、米国の鉄鋼業界が抱える問題を輸入鋼材に転嫁し、米国の業界救済のため日本の輸出メーカーや米国内の需要家に犠牲を強いる「不当な決定と言わざるを得ない」と厳しく非難した。
同会長は、米国鉄鋼業界の経営悪化の原因として、1)需要を上回る設備の拡張、2)高炉会社と電炉会社間の価格競争、3)自動車向けなどの需要減退、4)従業員や家族に対する年金や健康保健支払いなどの過大なコスト−−などを挙げた。そのうえで、こうした米鉄鋼業界自身の問題をすべて輸入製品に転嫁する「今回の決定は誤り」と強調した。
また、セーフガード措置が、競争力回復のための一時的な緊急避難措置であるべきにもかかわらず、米国鉄鋼業界からは、現実的なリストラ案が示されていないことに不満を表明。また、昨年の経済協力開発機構(OECD)の鉄鋼ハイレベル会合での各国による鉄鋼の供給能力削減への取り組みに水を差しかねないとし、「自由貿易主義に基づく健全な世界鉄鋼貿易を著しく歪める脅威である」と重ねて非難した。