(回答先: スイス ヴィア銀行 投稿者 パーマン2号 日時 2002 年 2 月 25 日 15:16:01)
失業者の増大に困っている旧東ドイツ・ザクセン・アンハルト州のハレ市(http://www.halle.de/)である。ここでは1992年より、コミュニティーを再生しようという試みが始まった。デーマーク(deMAK http://www.anhalt.net/doemak/)という、紙幣を使わずに通帳上でモノや仕事を交換するシステム(交換リング)である。この通帳での取引を通して、残高がマイナスになってしまうこともあるが、それは借金ではなく、むしろ「交換リングでマイナスを持つということは、その分を誰かに返さなければなりません。そこで新しい関係が生まれます。マイナスのデーマークは、共同体の一員である証になるのです」とみなされるという。紙幣を発行しない、こういった交換リングのシステムについては確かに懐疑的な見方をする方も多いだろう。ウソの数字を通帳に書き込んだりしないか、という不安も確かにあるが、そこで誠実にきちんと正しい数字を通帳に記入し続けるあたりに、ドイツ人気質が見え隠れしているように私は思う。ただ、この制度を日本でも適用できるかと問われた場合、現在の日本社会では困難を伴うであろう。
ここでこのデーマークのおかげで生計を維持している青年の例が紹介される。マルティン・バーチさんだが、デーマーク会員から求められた仕事をこなすことで彼は生活ができている。「この部屋代のために月20時間、庭師や管理人として働きます。15時間いろいろな仕事をして食事代を稼ぎます。こうして部屋代と食事代が節約できます。残った時間は自由にできるんです」と彼は語る。彼のデーマークの収支は現在マイナスだが、利子がつかないデーマークであるため、その負債が雪ダルマ式に増えてゆくことはない。彼は現在パスタを作っているが、これが軌道に乗ればその負債は帳消しになり、ダメでもその原材料費を自分がかぶればいいだけなので、新しい仕事を始めようとする彼にとっての負債は最小限度で済むことになる。
番組ではさらに、デーマーク会員同士が自分たちの手作りの品を持ち寄って取引する様子が紹介される。そこで、「いろいろな人と知り合いになれましたし、自分の思いつきを実行に移せました。本当のお金だったらこうはならなかったでしょう」とか、「交換リングには本当に助けられました。今までこんなに快適に思えるところは無かった」と語る会員が登場するが、同じ会員同士ということで新たに生まれる共同体意識が、「オリーブの森で語り合う」の「フランス革命の合い言葉」でエンデのいうところの「友愛主義的経済」を実現しているといえるだろう。