(回答先: 1932年シュヴァーネンキルヘン 投稿者 パーマン2号 日時 2002 年 2 月 25 日 15:14:52)
この銀行で使われている通貨は、企業や商店間の取引のために使われているものであり、60年以上の歴史を持っている。ヴィア銀行(http://www.wirbank.ch/)がそれであるが、これもやはりゲゼル理論に基づいて、1934年スイスの中小企業や商店が生み出した新しい金融システムである。ここではヴィア(1ヴィアは1スイスフランに相当)という単位が用いられており、昔は紙幣も発行していたが、現在では紙幣は使われず、決済のときに使われるだけになっている。現在ではスイスの17%、76000社が参加し、スイス経済の中にしっかりと定着している。最近ヴィアの電子決済が可能になり、ヴィアがスイスフランと同じように使われるようになり、ヴィアでの取引額が増大している。製造業からホテル、レストランまでさまざまな事業所が登録してあるが、このヴィアが前述の地域通貨と異なる点は、ヴィアだけでの決済は認められず、あくまでもスイスフランと同時に使われる必要がある、というものである。両通貨の割合は企業によって異なるが、たとえば1万フランの支払いをする場合、そのうちの7割をヴィアで、残りの3割をスイスフランで(つまり、7000ヴィア+3000フランで)支払いをしなければならない。これにはさまざまな理由が考えられるが、主なものを上げると(1)従業員にはスイスフランで賃金を払う必要があり、そのフランを稼ぎ出さなければならないため、(2)外国との取引でもやはりスイスフランが必要になり、それを稼ぎだす必要があるため、(3)税収の低下を恐れた連邦政府や地方自治体からの要請があったため、であろう。ヴィアを利用している企業の社長の「ヴィアはいいことばかりですよ。新しい客がつきますし、ヴィアが動けばスイスフランもついてきますしね」という言葉と、ヴィア銀行の職員の「スイスでは、80%が中小企業です。この数字で、私たちの存在意義を理解していただけるでしょう。私たちが、中小企業をどのように支えているかですが、一つには、ヴィアのシステムが、スイスフランにプラスアルファのビジネスをもたらしていることです。フランとヴィアが併存することで、お互いにプラスになっています。さらに、ヴィアに加入することで連帯が強まり、購買力がひとつの輪の中で維持され、外に逃げてゆかないことが私たちの強みです」という言葉が、ヴィアの効用を端的に示しているといえよう。