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実行できない政策は“有効性”もありません 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 05 日 22:27:12:

(回答先: ユダの裏切り、楽観派の無節操 投稿者 楽観派 日時 2002 年 11 月 05 日 21:18:49)

楽観派さん、こんばんわ。


>あっしら氏はデフレを克服することの重要性を繰り返し主張されているが、主張され
>るデフレ対策(例えばトヨタのように多くの利益をあげている企業が賃上げをするな
>ど)に疑問を持っている。その対策の有効性ではなく、その対策が実行できるかどう
>かに関してである。

>どんなに優れた対策・政策・方針であってもそれが実行することができなければ、そ
>うした施策を議論すること自体意味がない。そして私にはトヨタに代表される現在多
>額の利益を上げている日本企業が賃上げすることを議論することは意味がないように
>思える。

実行できない政策は、有効性もありません。

この間のデフレ・スパイラル状況でも利益を計上している輸出優良企業が賃上げを行うべきだという政策提言が、“実行されにくい”(理解されにくい)政策であることは自覚していますが、“実行できない”政策だとは考えていません。

経済論理を研究している経済学者がきちんとしたマクロ論理(国民経済的循環構造)をわかりやすく説き明かせば、よりスムースな経営が可能になる経済状況が生まれることや賃上げに投じたお金も自分のところに戻ってくるという理解が得られます。

そして、このようなマクロ経済論理を理解しやすくするために、恒久的「低中所得者減税」を先行することも必要だと思っています。(これが「デフレ不況」を解消できないとしても緩和すれば、マクロ論理の理解に資するはずです)

匿名希望氏から“毛針政策”だという批判も頂戴しましたが、賃上げに要した経費のある割合を所得税対象金額から二重控除する政策を採ることも、論理がなかなか理解できない経営者には効果があるのではと思っています。(“毛針政策”は時限的なものになります)

日本が「デフレ不況」で価格が安くなって利益が出ないからと判断して、コストが安い国に製造拠点を移してそこで生産された商品を輸入すれば、押し下げられた供給=需要のなかで供給は同じか増えることになるので、いっそうのデフレを招きます。
このような倒錯的経営を平気で行っているのですから、企業経営者の多くがマクロを理解しているとは思えません。
製造拠点の海外移転は、他の企業が日本に留まり、自分のところだけがそうするのであれば、利益増大に貢献する経営戦術です。
しかし、競争企業がこぞって海外に移転すれば日本の供給=需要がそのペースで失われていき、個々の企業の思惑も実現されないことになります。
(生き残りを賭けた首切りや賃金カットも同じ結果を招きます)

ミクロの合理的判断がマクロをおかしくし、その結果ミクロそのものもおかしくなることもあるという「総合の誤謬」が理解できない経営者や政治家が多すぎます。

個別企業は自分が生き残ることに必死になって誤った政策をとりがちですから、それをきちんと修正するのが国家や経済学者の役割だと思っています。

資本制産業がGDPのほとんどを占めている現状では、資本制産業がその供給活動にどれだけお金を投入するかがGDPの動向を決します。
そして、資本制産業がGDPのほとんどを占めているのですから、供給活動に投じたお金は、需要として資本制産業にほとんど戻ってくることになります。

(輸出の増加が期待できず、財政出動(赤字財政支出)も拡大できず、一頃の米国のように外国から厖大な通貨的“富”の流入が期待できない現状では、「供給が需要を生む」という根源的論理をきちんと理解する必要があります)


しかるべき人たちが意を尽くせば理解されると思っていますが、どうしてもマクロ経済の論理に理解が得られないというのであれば、国民生活の苦境を解消することが最優先テーマだと考えていますので、「政府紙幣発行」という需要側からのプル政策もやむを得ないと思っています。
(「政府紙幣発行」も、近代経済システムを根底から揺るがすものですからそうやすやすとは実行できないと考えていますが...)


「デフレ不況」を解消する手だては、今のところ、持論もしくは「政府紙幣発行」だと考えています。


>実行可能な政策は議論に値するが、実行できないものはそれがいかに理論上優れたも
>のであっても意味がないと思う。私が過去に行ってきた日本経済への提言は例えば
>レーザー核融合や光触媒に対して優先して予算をつけよというものであり、これは実
>行可能な提言である。

国際競争力の強化や新エネルギーの開発に国家予算を投入することには賛成ですが、産業化実現までの期間の問題と供給=需要にどれほど貢献するのかという問題を提起できます。

新技術の研究開発期間は資金を投入するだけでほとんどリターンがありません。
ということは、財政危機のなかではそれほど厖大な予算措置は採れないということです。

また、新技術が従来技術の代替であれば、国際競争力(輸出増加や技術供与対価)には貢献しても、供給=需要規模をそれほど拡大するわけではありません。

リサイクル技術や再生可能エネルギーの開発は、経済論理を超えた最重要テーマだとは考えています。

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