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(回答先: 世界のリテール銀へHSBCの研究(上)ライバルは米シティ――リスク分散。2002/10/22 【日経金融新聞 】 投稿者 hou 日時 2002 年 11 月 03 日 21:56:56)
香港の成功中国に生かす
「生命保険だけが狙いではないはずだ」――。HSBCが八日に発表したばかりの中国二位の大手生保・平安保険への一〇%出資について、香港の銀行アナリストらは、こう口をそろえる。
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出資額は六億ドル(約七百五十億円)と、中国の保険会社に対する外資の投資としては過去最大。表向きの金額もさることながら、二千万人の顧客を抱える平安保険は保険に加え、証券や資産管理など幅広い金融ビジネスを手がけているためだ。
HSBCは昨年末、中堅の上海銀行に六千三百万ドルを出資して八%の株式を取得。九月末にはオンラインバンキングの免許を得た。銀行、投資信託、生損保……。HSBCが中国市場で目指しているのは、多彩な金融商品を複数の販売経路で供給し、顧客を囲い込む「金融のスーパーマーケット戦略」である。
世界貿易機関(WTO)加盟を果たした中国は、二〇〇六年までに金融リテール市場を外資に全面開放する。中国国内の投信残高は同年までに昨年末の約四倍に相当する三百七十六億ドルに膨れ上がる見通し。
すでに「一兆ドル」を突破した中国の個人金融資産の取り込みに向けて布石を打つ。HSBCの戦略について、UBSウォーバーグのアナリスト、J・ワドル氏は「この先五年は難しいが、一〇年後には相当な利益が出る」と評価する。
HSBCが中国に積極的なのは、前身の香港上海銀行の香港における一貫した成功体験がある。
香港は一九九七年のアジア通貨危機で不動産バブルが崩壊し、すでに二回の景気後退に見舞われた。そんな経営環境でも、HSBCの税引き前利益に占める香港部門の割合は二〇〇二年の予想で三九%と、九六年の四〇%と変わらない。UBSウォーバーグによると、HSBCの香港部門(恒生銀行を除く)の株主資本利益率(ROE)は二〇〇一年で三二%に達する。九七年の二四%からむしろ上昇した。
企業の資金需要の低迷に伴う貸し出しの激減、クレジットカード破たんの急増など、困難な環境の中で利益率を高められたのは「香港で調達した資金を手堅く米国債などに投資してきたため」という。
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香港最大で、発券銀行でもある同行への信頼は圧倒的。それが預金などを通じた低コストの資金調達につながり、グループ全体の収益を下支えしてきた。競争の激化もむしろライバルへの影響が大きく、勝ち組の同行にはプラスに働いている。香港ドルの米ドル連動制が破たんするといった事態に発展しない限り、「金城湯池」の基盤は揺るぎそうにない。
英金融誌バンカーは二〇〇二年の最優秀国際金融グループにHSBCを選んだ。「世界の金融機関が軒並み不良債権の傷口の手当てを余儀なくされている」のを尻目にメキシコ、トルコ、中国と立て続けに新興国市場で戦略投資に踏み切った積極策を評価した。
世界人口の五分の一を占める中国は「世界のリテール銀」を掲げるHSBCにとっては最重点市場となる。HSBCはじめ出資者は、平安保険を来年早々にも株式上場させる計画だ。中国での投資戦略が早速、市場の評価を受けることになる。
(香港=有賀敦彦、ロンドン=佐藤大和)