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(回答先: 世界のリテール銀へHSBCの研究(中)1兆ドルを取り込め。2002/10/23 【日経金融新聞】 投稿者 hou 日時 2002 年 11 月 03 日 21:59:23)
HSBC Wedsite
http://www.hsbc.co.uk/other.htm
成長加速へ大型買収も
「アナリストの『売り』推奨と『買い』推奨の銘柄数を均衡させ、『中立』に逃げることも認めない」(グローバル調査責任者のM・ブラウン氏=当時)――。情報技術(IT)株のバブル崩壊で、アナリストへの批判が高まり始めた矢先の昨年秋、HSBCは投資銀行部門の株式アナリストの判断基準を抜本的に見直すと打ち出した。
◇ ◆ ◇
推奨した株は自らも売買する。アナリストの中立性をめぐって投資家の不信感が高まる中で、HSBCの試みは「画期的」という評価を獲得。米系投資銀行も相次ぎ追随した。それから一年。HSBCの投資銀行部門は迷走している。
銀行調査チームはクレディ・スイス・ファースト・ボストンへ移籍、貴金属・鉱業チームはJPモルガンに引き抜かれた……。今年に入ってアナリストの大量流出が始まった。株式市場の低迷で投資銀行部門の業績が悪化し、二月にアナリストのボーナスの大幅削減に踏み切ったのがきっかけだった。
高い報酬と調査の質に自信を持っていたアナリストは猛反発。「HSBCがリサーチ部門に対し低い評価で報いる姿勢は、納得できない」。株価評価の抜本的な基準見直しの立役者だったブラウン氏までも、HSBCからABNアムロに去った。
エグゼクティブ・ディレクターのS・グリーン氏(投資銀行部門責任者)は「経費削減で一段の業績悪化を食い止めるのは当然。アナリスト報酬も聖域ではない」と強調する。しかし、HSBCの投資銀行部門が「大手米系と比べ、甘めにみても二流」(英金融調査会社フォックスピット・ケルトンのM・トーマス氏)との評価が市場にあるのは事実。米スタンダード・アンド・プアーズは先月、運用担当者を失ったHSBCの十の投資ファンドについて格付けの見直しに着手した。
投資銀行部門そのものの弱みだけではない。世界リテール戦略を展開するHSBCが「中長期的な収益源の要」(J・ボンド会長)と位置付けるのが、成長市場である富裕層向けのプライベートバンキング(PB)業務だが、計画通りには成果があがっていない。
HSBCは二〇〇〇年末、米メリルリンチとの合弁でオンライン金融子会社「メリルリンチHSBC」を設立。総額十億ドル(千二百五十億円)を投じ、地元欧州から日本まで世界三十カ国の富裕層向けにネットを通じた金融サービスを提供する計画をぶち上げた。
しかし、「大西洋をまたいだ強者連合」と話題を集めた計画も、二年足らずで破局する。ITバブルの崩壊が直撃し、収益が低迷。メリルリンチは七月にあっさり身を引いた。
◇ ◆ ◇
やむなくHSBCは全株を引き受け、完全子会社に移行したが、社名はそのまま。「投資銀行としてメリルブランドは捨てがたい」(グリーン氏)という苦渋の判断があった。グループ全体の税引き前利益に占めるPB部門の割合は二〇〇〇年通期で五・三%、今年上半期は四・三%に低下した。
HSBCは、二〇%を上限として株主総会を経ずに増資できる枠を設定している。この増資枠に加え、戦略強化のための買収資金に直ちに回せる現金を「七十億ドル(約八千七百五十億円)確保している」とされる。成長を加速するため、メリルリンチを含め、米国の有力金融機関を対象にした大型買収観測が絶えない。
市場では現在、HSBCは「手堅い戦略が奏功し、世界で最も高い評価を受けている銀行」(UBSウォーバーグ)とされる。ボンド会長は「我々の株主は三カ月単位ではなく、三十年間の実績で評価してくれているはずだ」と訴える。市場の高評価を維持する正念場を迎えている。
(ロンドン=佐藤大和、松岡由里子)
【表】HSBCの主な再編の動き
1865年 香港上海銀行設立
1991年 香港上海銀の持ち株会社HSBCホールディングス発足
92年 英四大銀行の一角、ミッドランド銀行買収
93年 本拠地を香港からロンドンへ移転
99年 米銀リパブリック・ニューヨーク買収
2000年
10月 仏商業銀行(CCF)を買収
12月 メリルリンチHSBC営業開始
2001年
9月 トルコの大手商銀デミレ銀買収
12月 中国の上海銀行に8%出資
2002年
7月 メリルリンチHSBCからメリル撤退
8月 メキシコの大手商銀GFB買収
10月 中国の大手生保、平安保険に10%出資