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(回答先: IMF日本駐在工作員 投稿者 抵抗権 日時 2002 年 10 月 13 日 14:03:11)
抵抗権さんへ ぜんぜん、内容が具体的でないんだな。
そこが困ったところ、分からないんだよね。こんな資料じゃ
せめて、キャシー・ウォルフェ女史の英語の資料とかないんですか?
もっと知りたいのに、これじゃUFO研究会と変わらない。
ここは、人間が実際かかわっている、事象である経済のことを論議しているのに、なんで未確認飛行物体のような
資料しかないんですか?
これぐらいの資料は無いんですか?
タイから始まったアジアの金融・通貨危機は、かつて経験したことのない展開をみせている。「二十一世紀型の金融危機だ」との指摘もある。
異例なのは、(1)他国に次々に波及する感染性の強さ(2)感染スピードの速さ(3)実体経済はそれほど悪くなく貯蓄率も高い国まで突然危機に巻き込まれたこと、などである。
「二十一世紀型」だというのは、冷戦終焉(しゅうえん)後加速した経済のグローバル化、グローバルな金融・資本市場の誕生と、それを通じた資金移動の飛躍的な拡大、情報技術の革新を背景とした資金移動の「瞬時」化などによる。
このため、アジアの特定の国々の危機というよりは、「グローバル経済の危機」だという論者もいる。あるいは、冷戦後ひとり生き残った資本主義自体の危機だとの見方もある。
危機の現実の展開は、「意図せざる為替切り下げ競争」の様相を呈している。これは事実上米ドルにペッグ(連動)して過大評価になったアジア通貨の為替レートが、政策によってではなく、市場の圧力により、今度は逆に過小評価の方に行き過ぎ出したからである。
また、国際通貨基金(IMF)が従来型の支援条件(コンディショナリティー)をやや機械的に適用しているため、これも「意図せざる」デフレの連鎖を生んでいる。かつては金融・通貨危機は特定国だけに封じ込めることも容易だった。したがって、その国に強制した緊縮政策がグローバルなデフレ連鎖をもたらすこともなかった。問題国の調整コストを世界経済がゆとりをもって吸収できた。
しかし、今回のような感染性の高い危機に、IMFが従来の手法を続けていいのだろうか。
「IMFは解決でなく、問題の一部になっている」(ハーバード大のJ・サックス教授)といった指摘もある。現実にIMFによりタイや韓国へ支援措置がとられた後も、これらの国の為替レートの低下が止まらなかった。IMFの処方せんが市場の信認を得られなかったことを意味している。
かつてP・ドラッカーが「実物経済と名目経済(シンボル・エコノミー)の関係が切れつつある」とのアンカプリング(分離)論を説いた。彼は、それが何をもたらすのかは分析しなかったが、アジアの金融危機は、このアンカプリングの具体的な現象かもしれない。金融経済と実物経済の調整スピードの大きなギャップが、今後ますます難しい問題を提起するだろう。
もう一つの問題は、今回のアジア危機と日本との関係である。当初は、アジア諸国支援における日本の役割とか、リーダーシップといった視点での議論が多かった。最近は、お隣の韓国まで感染するに至り、「アジア各国の危機で日本がどんな影響を受けるか」に関心が移っている感じだ。ここで忘れがちなのは、日本におけるバブル景気崩壊後の経済調整がアジア諸国にどういう影響を与えてきたかという点である。
日本経済の実質成長率は、九〇年代に入って年平均で一%程度でしかない。それも初めは超円高の下での内需中心型の低成長だったが、最近は円安・ドル高と内需の一層の停滞を背景に、日本の貿易黒字が急拡大の方向にある。アジアからの対日輸出も鈍った。アジア諸国はドルとリンクした為替レート政策をとっていたから、対ドル円安はアジア通貨の対円切り上げ、つまり対日輸出競争力の低下だったわけだ。
また、日本の金融機関の不良債権処理の不手際が、アジアの金融危機を増幅する面があったことも否定できまい。バブル崩壊による不良債権問題の発生から七年もたつのに、問題は解決するどころか深刻化している。
日本の金融機関のいわゆる貸し渋りはアジアにも及んだ。邦銀は「欧米金融機関の方が逃げ足が速かった。われわれはむしろ逃げ遅れた」と言う。だとしても、アジアの金融危機が表面化しだした悪いタイミングでの貸し渋りが加わっていないか。円安につながる超低金利政策に依存しすぎたポリシー・ミックスにも問題があった。
日本の役割は、自国の経済を一刻も早く正常化することだ。それはむしろ「責任」というべきだろう。