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(回答先: イオン岡田社長:「デフレは継続する」、商品価格の下落を予想−説明 投稿者 ご破算に願いましては 日時 2002 年 10 月 09 日 21:30:17)
イオンの社長としては、デフレが継続するという“正しい認識”をして、その状況での生き残りをかけて低価格商品の開発を進めるのは“正しい判断”である。
個別企業の“正しい認識”と“正しい判断”が、国民経済のデフレをさらに悪化させるのである。
岡田社長のような判断をする経営者が多数派であるが故に、日本経済はデフレ・スパイラルに陥っている。
しかし、岡田社長は、デフレが継続する根拠として頓珍漢な説明を行っている。
個別企業の経営者としてデフレ対応をするのはやむを得ないが、誤った論理を信じていれば、デフレを解消できないどころか、デフレをさらに進めることになる。
>同社長は、1989年の「ベルリンの壁崩壊」以降、世界の経済体制が自由経済に収束し
>つつあると説明したうえで、「共産圏や中国圏が加わり、サプライヤーが増えている
>一方で、日本ほど他国との価格差が大きい国もない。デフレは必然だ」と述べた。
共産圏や中国圏を日本向けサプライヤーとして増加させているのは、イオンを含む日本企業である。
共産圏や中国圏の企業が、日本市場向けマーケティングを行う力はまだない。
「日本ほど他国との価格差が大きい国もない」わけは、日本が世界最高レベルの一人当たりGDPを誇っているからである。
そして、そのような値になっている最大の理由は、耐久消費財生産で世界最高度の国際競争力を維持し貿易収支の黒字を計上し続けて円高になっているからである。
一人当たりGDPが大きいということは、国際競争力(貿易黒字)を国民経済的循環にうまく活かしている証である。
給与が20倍であれば食糧の価格が20倍であるのは当然で、エンゲル係数は下がっているのだから、それでも、耐久消費財など他の財や用役に向けられる余裕があるということである。
発展途上国の人々は、基礎的な生活物資は日本とほぼ同じレベルで購入できるが、それで所得の多くを使い果たし、耐久消費財を購入できる余裕はなかなか持てない。
近代産業以外の財や用役を供給している主体に高い価格を支払うことで、国民全体が豊かな生活を営める経済構造を実現したのである。
同等の品質ならより価格が安い輸入財を増加させるという政策を採ったら、それまで国内でその財を生産していた人々が他の財の生産に転職できない限り需要が減少する。
“需要不足”だったり輸出も伸びないという現状からいって、セーフティ・ネットとの差額は確実に需要が減少することになる。
(セーフティ・ネットといっても“天の恵み”ではないのだから、赤字国債を発行するか、雇用保険料を引き上げるか、増税をするかしない。赤字国債は負担の先延ばしになるが、それ以外は、所得移転でしかないから、就業者や企業の需要を減少させることになる)
セイが洞察したように、「供給が需要を生み出す」のである。
逆に言えば、供給を減らせば、需要も減少するというのが経済論理である。
そして、これに対抗できる方策は、供給を輸出によって減らすことだけである。
日本は10兆円を超える貿易収支黒字を計上している。
「供給活動に投入される通貨」と「貿易で稼いで通貨」がすべて財や用役の購入に向けられれば、デフレになることはない。
生産性の上昇でデフレ気味になるのなら、財の供給量が同じ状態で給与を引き上げればいいのである。
商人に商人の論理を超えたものを期待しても無理だからこそ、国民経済を管理する国家がきちんとした政策を採らなければならない。
厖大な“余剰通貨”の一定部分を供給活動への支払い増加=給与引き上げに使わせる政策が、「デフレ不況」脱却の決め手である。