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(回答先: Re: 給与が20倍で食糧の価格が20倍だったら、エンゲル係数は下がらんカモ 投稿者 日時 2002 年 10 月 09 日 23:56:20)
まず、タイトルで示された疑念について...
> 給与が20倍で食糧の価格が20倍だったら、エンゲル係数は下がらんカモ
20倍と書いたのは日本と中国の比較であり、エンゲル係数の下落は日本の歴史的変化です。
中国沿海部の中所得者と日本大都市部の中所得者を比較すれば、所得に占める「食費+住居・光熱費+被服費」という生活直接費の割合は、日本のほうが高いし、エンゲル係数も日本のほうが高いかもしれません。(質的に劣りますが中国の住居費は日本の1/50)
エンゲル係数が同じだとしても、所得の絶対額の大きさは、近代産業の生産財である耐久消費財を購入できる余裕があるかどうかに決定的な規定性を持っています。
それは、基礎的生活財が国民経済の一人当たり所得額にほぼ規定されるのに対し、耐久消費財はほぼ“国際価格”で日本やドイツとそれほど変わらないからです。
豚肉は1/20でも、自動車や家電製品の価格は日本とそれほど変わらないとイメージすればいいでしょう。
日中ともに生活関連費が所得の70%を占めるとします。
日本は年収が500万円、中国が年収が25万円とします。
貯蓄・耐久消費財・贅沢品に使える金額は、日本が150万円で、中国が7万5千円になります。
どちらが、200万円する自動車を購入しやすいかご理解いただけると思います。
>一人当たりGDPが高くても物価が高いとは限らない。
>物価が高いのは日本の非製造業が保護されて生産性が極端に低いからでしょ
一人当たりGDPの高低は、物価の高低と基本的に相関関係にあります。
スイスやルクセンブルクに行けば、日本よりもサービス費や交通費が高いことがけっこうあります。(スイスの家族経営ホテルはそれほど高くありませんが...)
日本の非製造業は保護されている部分もありますが、それが国民経済の成長に貢献してきたのです。
例えば、米作農家は、かつて食管法による政府買い上げ制度で“意図的”に所得が増加していきました。(米価が生産者と消費者で逆ざやになる政策を採ったのは誤りですが...)
そのような米作農家の所得増加が、農耕機器・化学肥料・自動車・家電・住宅などの近代産業財の需要拡大に寄与するとともに、省力化が子弟の都市労働者流出条件をつくり“人手不足”の解消に貢献しました。
商業や飲食サービス業の生産性が低いのは、地価(不動産価格)がべらぼうに高く、平均的生活水準が高いことで人件費が高いためです。
地価は下げても構いませんが、人件費を下げれば、国民経済の需要が減少します。それは、生産性が高いと言われている優良企業の収益を減少させることでもあります。
日本は、輸出優良企業の生産性の高さをそれに従事する人たちの給与引き上げで還元し、その所得増加が、農家には政策的に、国内向け企業には“相互扶助”的に循環することで総体の生活水準を上昇させることに成功したのです。
(“相互扶助”的にと言うのは、自分で食事を作ったり洗濯をしないで、他の人に頼むことで所得を分配することを意味します)