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jimmyさん、こんにちわ。
米国が、金融政策でデフレを阻止することはできないし、6兆ドルを超える公的債務と4千億ドルの経常収支赤字という状況では財政出動でデフレを阻止することもできないと考えています。
>=====(引用はじめ)=======
>世界経済のデフレ現象に歯止めをかけるためには、米FRBも通貨供給量の拡大しか
>ないと考えており、9月以降行動を起こしそうだ。日欧金融当局もこれに追随するこ
>とになろう。世界金融は、大量の通貨供給時代を経ないことにはデフレ経済に歯止め
>をかけられないであろう。今年後半から来年に向けて、世界の金融市場はカネ余り現
>象が強まり、資金がジャブジャブの時代が到来するのではなかろうか。これによっ
>て、米国では自動車の需要がさらに拡大し、住宅の売れ行きは一段と拡大していこ
>う。そして、世界各国の国債は一段と買われて、超低金利時代は世界的な流れになろ
>う。その結果、景気後退は回避される。こうして、米国経済に回復の兆しがでてくれ
>ば、マネーは株へと再び戻ってくることになろう。そして、景気の後退を支えてきた
>米国の住宅バブルと世界的な国債バブルが2〜3年後に弾けて、物価は上昇し、デフ
>レ経済にようやく歯止めがかかるというシナリオを考えているが、いかがであろう
>か。
>=====(引用おわり)=======
金融市場にカネ余り現象が強まることや国家を借り手とする国債に資金が向かい低金利になることには同意します。
しかし、これは、「デフレ不況」で苦しんでいる昨今の日本経済と類似的な経済状況でしかありません。
デフレを阻止したり解消するためには、財や用役の物理的供給量に対応する通貨的需要量の増加が必要です。(通貨的供給量ではなく、物理的供給量であることが肝要です)
通貨的需要量は、おおまかに勤労者可処分所得+金融可処分所得+財政支出から構成されます。
日本は既にそうなっていますが、米国の財政支出も、財政及び国際収支の事情から拡大ができにくいと思われます。軍需物資に向けられる金額は増えるでしょうが、兵器生産の質的向上から、それが雇用の拡大にはそれほど貢献しません。
金融取引を通じて得る可処分所得は、株高状況時の金額規模を国債利息で補えるものではありませんから、減少すると考えたほうがいいでしょう。
国債への資金の流れが、国外からのドル還流減少を補う役割を果たし、財政赤字の補填や公的債務の履行をサポートすることは間違いありません。
勤労者可処分所得は、失業者の増加が減少要因となっており、医療保険料の増加も減少要因になっています。
日銀がいくら金融緩和策を採ってもデフレが解消できないように、唯一とも言える需要拡大主体である勤労者可処分所得を上昇させない限り、FRBがいくら金融緩和策を採っても米国のデフレを阻止することはできません。(米国経済は、70%近くも個人需要に依存しています)
世界的な運用難状況では、金融緩和策を採っても銀行にドルがただ貯まっていくという状況になり、それでは1セントも収益が得られない銀行は国債購入に走ります。
銀行から企業に通貨が貸し出され、その通貨が勤労者や他の企業に支払われることで国民経済は循環が維持されるものです。
勤労者可処分所得を上昇させるためには、雇用増加・給与上昇・税及び社会保険負担減少という政策が必要です。
日本と同じように、米国の個別企業も、“資本の論理”に従って生き残りを図るはずです。(日本以上にドラスティックに..)
売上が減少すれば、首切り・ボーナスカット・賃金カットに走ります。
このような“資本の論理”を考えれば、不況色を強めている米国で勤労者可処分所得が増加する見通しは持てません。
財政赤字が1500億ドルに達している状況で、再び減税が行われることはないと予測します。(高額所得者減税や金融利得減税の可能性は否定しませんが)
自動車は、メーカーが値引きや0%ローンなどのインセンティブで需要を支えていますが、勤労者可処分所得が減少していけばそれも息切れしますし、インセンティブはメーカーの収益を圧迫するものです。
住宅需要は、名目金利が低下したことから“低金利”になったと錯覚したことや値上がり状況に煽られて堅調だというのが実態です。
名目金利の低下が実質金利の低下にはあらずということが、勤労者可処分所得の非上昇のなかで理解されるようになります。(米国の実質金利は国債ベースで5%ほどという高金利です。日本は2.5%ほどです)
さらに、住宅価格の評価が高くなることで借り入れを増加させて消費に回している米国民が少なからずいますから、住宅価格の低下や勤労者可処分所得の減少は、銀行の不良債権を増加させる可能性があります。
勤労者可処分所得が伸びたり実質金利が低下しない限り、住宅価格の上昇も早晩頭打ちになります。
>具体的に、どのような政策かはわかりませんが、日本のように、全ての問題を先送り
>し、何も選択せず、座して死を待つというような事にはならないと思います。先日、
>ピーター・タスカの講演を聞きに行ったのですが、『米は決してデフレを容認しな
>い』と言ってました。今、住宅バブルが喧伝されていますが、間違っても日本のよう
>に総量規制などという愚かな行動はとらないでしょう。むしろ、この住宅バブルを何
>とか維持しようとするのではないでしょうか。
ピーター・タスカ氏ではなく、FRB議長や大統領がいくら『米は決してデフレを容認しない』と叫んでみても、経済論理は冷徹ですから、デフレはさらに深刻な様相を見せるようになります。
住宅向け融資の総量規制を行わなくとも、需給論理と実質金利問題で住宅価格は頭打ちになります。
デフレもそうですが、バブルも、維持したいと思ったからといって維持できるものではありません。
デフレを阻止したり解消するためには、個別資本の論理を乗り越えて、財や用役の物理的供給量に対応する通貨的需要量の増加が必要だという当たり前の論理を現実化するしかありません。