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国民一人ひとりがじっくりと、無心に考えなければならない 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 9 月 18 日 06:03:27:

日本は決してこれから確実に起こる緩慢なる死を甘受してはならない。ぬかるみから抜け出す奇策や妙案があると思ってもいけない。冷静に現実を見つめれば誰にでも分かることだ。我々は問題に直面することを避ける卑怯な国民ではない。

以下のような論調の輿論作りなら、協力を惜しまない。

=quote=
日本政府は現在1400兆円の個人金融資産の半分以上750兆円を保有する60歳以上世代に年間40兆円以上の年金をつぎ込み、金融資産の14%しか保有しない40歳代、7%しか保有しない30歳代など住宅ローンを抱える働き盛りの世代から20兆円以上をその原資として毎年吸い上げている。
 日本中の年収5000万円以上の申告所得者の4人に1人は年金を受け取っている。

 その結果高齢者に資産がたまる一方でしかも世界一の長寿国、その資産活用のため相続まで待っていられないと、譲渡税を減税して若年層への資産移転を図る愚策を政府は名案と考えている。

 医療費は年間30兆円を超えたがそのうち10兆円は高齢者にかかっている。老人医療で1人あたりかかる費用は平均して若者が病気になった時かかる医療費の5倍だ。この老人医療費10兆円はもし欧州の安い国並みの老人医療費単価だと4分の1の2兆円少々ですむ。日本の医療はひどく高い。

 国債という名の麻薬

 日本のサラリーマンの8割は所得税が年間20万円以下である。ただしその所得層では社会保険料のほうがはるかに多く取られしかも天引きなので、これも税金と認識されている。日本の会社の7割は赤字で法人税は払っていない。

 相続税を実際に払うのは100人の死亡で5人程度だ。消費税率5%というのは国際的には最低水準で、10〜20%が普通だ。

 そうした少ない負担と多い給付は国家予算が支出80兆円強に対して50兆円以下の税収という日本独特の構造に如実に表れている。その不足分は毎年国債という名の借金でまかなわれる。それが積もり積もって都道府県など地方の借金もあわせて、累積の公的な借金は700兆円を超えた。1国の借金の累積額としては人類史上最大で、表面化していない国の不良債権を推計すれば1000兆円までは目と鼻の先だ。

 だが現状を見る限り最小限の負担で最大限の給付という構図は理想的だ。福祉国家給付先行国家としては天国のような状況だ。現実にはそれでもまだ不満は多い。個別の給付不足問題は山積している。だが全体像は、将来の心配などしなければ、住み心地いい天国なのだ。

 その給付天国日本の負担と給付の関係はあまりにもアンバランスで実態的にはすでに崩壊している。実際の崩壊を防いでいるのは過剰な借金だけだ。この負担と給付の問題は突きつめていくと、憲法の原理にかかわっていくのだが、それは政府の存続、政権崩壊に結びつく問題だ。だから給付ばかりを先行させ政権を維持するのだが、その失敗は最終的には政府の存在意義を問うことになる。もはや単に政権交代でおさまる状況ではなくみえる。もっと過激な革命に近いものにまで発展するかもしれない深刻さだ。

 給付に見合う適正な負担を実現する能力が今の日本の施政者側にないことは、もう何年も遅々として進まない構造改革で世間は承知している。それを如実に物語るのが政府が堂々と発表している将来の年金見通しだ。2015年には現役世代の年収の20%、2025年には25%の年金負担が必要だとしている。

 しかし実際の負担はこれ以外にもたくさんある。医療費の健康保険も20%近くなる。さらに税金も年金でさえこの調子だから平均してそれより多い年収の30〜35%とみるのが正常だろう。企業負担の行方もあるがこの三つを合計しただけで年収の8割程度が消える計算になる。

 別々の役所が別々に発表しているから合計されないが、単純な話だ。現在の給付行政は将来年収の8割以上を取り立てる前提で進んでいる。そんな世の中が成立すると思う人は見通しを作った役人も含めていまい。だからそうはならない。このままいけばそうなる前に崩壊するということだ。

 その日に向け我々は日々確実に一歩一歩進んでいる。

 国の基本形に問題あり

 憲法は25条で国が社会福祉や社会保障の向上に努めなければならないと規定するなど、生活権、生存権、幸福追求権などを国民の基本的権利として認め、政治的にも政府が行うべき最優先課題にしてきた。福祉国家が政治目標にもなり、右肩上がりの成長期、福祉や生活確保のための給付内容はひたすら拡大し、橋や道路のインフラ整備から年金・医療や老人・障害者介護まであらゆるサービスを国や地方が給付する給付行政が政府の仕事の根幹となり、今ではその拡大継続こそが政権維持の基盤になっている。

 そしてそれが政府の義務であることが、権限拡大がならい性となった中央官庁にとっても予算獲得上もっとも安易な手段になっている。義務的経費と称して予算上査定されない。その結果、憲法上も自己の都合からもやるべき政策は聖域化して、そのための資金集めとは完全に遊離して、その齟齬(そご)をつなぐのは借金という構造を定着させた。負担は後世代に付け回しし続けている。

 現在問題になっているあらゆる困った現象のほとんどはその結果である。国の借金だけではない。金融機関が抱える不良債権の山、これと連動するペイオフ騒ぎ、特殊法人と天下り、ゼロ金利の泥沼や日本企業の競争力の相対的衰えなど、現在抱える諸困難のほとんどの原因はそこに帰することができる。ここまで来ると国の基本形に問題はないか。負担と給付の問題を5回シリーズで考える。


(毎日新聞 09-16-23:28)
=unquote=

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