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米国政権にせっつかれた小泉政権が、「不良債権=企業過剰債務」問題を加速度的に処理しようとしている。
「不良債権=企業過剰債務」が国家的問題となるのは、それが「銀行過剰債務」であるからに他ならない。(企業の過剰債務は単なる民間経済問題である)
不良債権=企業過剰債務という使い古された表現自体が、問題の本質を曖昧にするまやかしである。
銀行がひとから預かっている通貨を使って貸し出しを行った結果、その少なくない部分が返済されない状況に陥っていることが「バブル崩壊」以降の経済災厄の根源である。
「失われた10年」の民間における最大の責任者は、ひとから預かった通貨を貸し出して回収できない銀行=貸し手である。
銀行の自己資本が劣化しているなかで「不良債権処理」を急激に行うのだから、実質としての債務超過が帳簿的現実として露呈することになる。
不良債権をRCCが実質簿価ですべて買い取ることは、二次損失が曖昧なかたちで国民負担になることから政治家も国民も許さないだろうし、担保資産がだらだらと塩漬けされる処理を米国政権が“歓迎”するとも思えない。
結局は、公的資金の直接注入=増資を選択するしかない。
それは、いくつの銀行になるかはわからないが、メガバンクを含む多くの銀行の国有化につながる。
従来から主張しているように、銀行の国有化には反対ではない。
郵便貯金も加えたかたちで国有の「決済専門銀行」+「融資銀行」に再編すべきだと考えている。
しかし、米国政権の意向を受けた小泉政権が、銀行国有化をそのようなかたちで活用することはないだろう。
旧長銀・旧日債銀と同じように、一時国有化を経て売却という流れを予測する。
日本の銀行が総崩れになっているなかで、旧長銀とは比較にならない高額の買い物になるメガバンクを日本資本が購入することも難しいだろう。
旧長銀と同じように、“掃除”を施した後に破格値で外資に売却することになると思われる。
瑕疵担保特約を再び行うことは困難なので、国費を厖大に使ってたんねんに“掃除”をしてからの売却という運びになるだろう。
国有化を免れた銀行(メガバンク)は、重荷を国費ですっかり降ろした“新生”メガバンクと競争を行うことになる。そのような競争の結末は書くまでもないだろう。
「新生銀行」が金融活動の主要部分を担うという日本経済の現実を思い浮かべてもらえばいい。
「不良債権処理」が終わったからといって、「デフレ不況」が終結するわけではない。
“新生メガバンク”は、金利引き下げ&手数料増額といったかたちで預金に対する負担を極力軽減し、優良企業と個人に対象を絞り込んだ高金利融資に励むことになるだろう。
(もちろん、証券の取り扱いも積極的に拡大する)
このような金融活動は、さらに倒産企業を増加させ、「デフレ不況」を深化させていくことになる。
金融の主要部分を握れば、個々の産業資本を支配しなくとも、ごく少数の優良企業を除けば日本の産業を実質的に支配することができる。
小泉政権は、無能な経済学者を総責任者に押し上げて、このような売国的政策を今まさに始めようとしているのである。
“抵抗派”政治家は、日本の根幹を変えてしまう最重要政策に対して「竹中大臣に任せて見守っている」と言うような無責任な内閣総理大臣をその職にとどめておいてはならない。
経常収支が10兆円を超えている日本経済は、米国や欧州諸国とは違って、デフレから脱却できる経済条件を持っているのである。
(年間10兆円ずつ通貨が増加する。米国は年間4000億ドル(50兆円)ずつ通貨が減少する)
唯一の正統派的デフレ対策は、恒久的「低中所得者減税」による需要拡大と輸出優良企業の給与引き上げによる供給拡大=需要拡大しかないのである。
(財の供給量を増加させない供給の拡大こそが緩やかなインフレ基調に転換する決め手である。インフレに転じれば、実質金利をマイナスにすることもできる)