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「構造改革」は圧倒的少数派の国民を豊かにする政策  − それを善とするのも価値観としてはアリです − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 9 月 13 日 21:54:04:

(回答先: 「デフレ不況」対策と構造改革は矛盾するか?>あっしら さん 投稿者 たにん 日時 2002 年 9 月 13 日 17:34:37)

たにんさん、こんにちわ。

>#給与の増加策について

>ここがやはり最も大きな認識の違いですね。やはり過去のデータを検証した上での数
>値的な予測が不可欠と考えます。
>もし恒久減税や給与の上昇が預貯金や海外ではなく国内企業に還流される割合が十分
>に高い(〜80%)と実証できれば、私も賛成です。しかし私は非関税障壁は、給与
>上昇の大部分を、国内製品に向かわせるほど強力なものだとは思えず、過去の減税で
>増えた消費も、国内消費の伸びよりも、預貯金や輸入製品のシェア拡大に向かったよ
>うな印象があります。

“国内製品”というより、家電を中心とした日本企業が供給する財という捉え方ですから、海外製造拠点で生産される財も含まれており、それらへの需要増加も、日本企業の売上・利益の増加に寄与するという枠組みで説明しています。
(利益の増加は、次の給与増加原資となります。現在は一回だけと考えた方がいいでしょうから、給与の継続的な増加と波及連関的な増加が必要です)

恒久減税をベースとした給与の上昇であれば、増分の2、30%が預貯金に回るとしても、半分が預貯金に回ることはないと思われます。

まあ、預貯金に90%回るとしても、財の供給量はそのままで、増分の10%が需要に向けられるのですからデフレが進行することはありません。


欧米企業はともかく、韓国や中国の企業で、日本で独自にマーケティングできる会社は極めて限られています。(サムスンや現代自動車ですが、日本国民の多数派が選択するとは思えません。輸入品であっても、日本企業ブランドであるから売れているというのが実態です)

韓国や中国の国際競争力上昇は、欧米市場で日本企業を苦しめることになると考えていますが、ここ2、3年であれば日本市場を脅かすものではありません。
「デフレ不況」が続けば、韓国や中国の企業製品が日本でシェアを延ばしていくことになると危惧しています。

>あっしら:増加した可処分所得は、これまで買い控えしていた利便財や住宅関連を中心と
>したものになるはずです。
>たにんさん:「海外に比べて割高である不動産に関しては、さらに下がる」と市場も
>見ていると推測します。
>あっしら:海外との比較で下がるという推測はしていませんが、収益率やフロー実態
>との関係で、下がると予測しています。

たにんさん:
>それでは、やはり現状で給与を上げても不動産購入には回らない(住宅関連消費も増
>加しない)のではないですか?

あくまでも、「デフレ不況」と現状の実質金利水準をもって、不動産価格は下落すると考えています。
インフレに転じることが、不動産価格の相対的安値感をもたらします。

インフレになれば、あるレベルまでは不動産価格が下がるとしても、まもなく、所得の上昇ペース“以下”で上昇に転じると予測しています。

>具体的に、どうやって上げさせるのかが問題ですね。
>黒字企業の競争力を低下させ、高コストな国内産業を保護するアイデアですが、あく
>までも短期的な国内需要創造策として言えば、「黒字額や企業規模に応じて最低賃金
>を罰則付きで法律で設定する(労働分配率の国家による強制)。

“一時的”というか愚かな“期待合理性”から利益が減少すると認識されるかも知れませんが、内部留保に回す利益を削って給与を増加させる政策ですから、競争力を低下させるわけではありません。(利益率は一時的に下落します)

法律的に強制することは考えていませんが、このまま「デフレ不況」が進めば、黒字企業への法人税大増税や戦時中の統制経済のような賃金統制(幹部社員と労働者の賃金差縮小など)が行われる可能性もあります。
そんな愚かな国家統制を引き出すよりは、主体的に「デフレ不況」を解消する賃金政策を採ればどうですかというアイデアです。

“供給こそが需要を造る”という経済論理が理解できないというのなら、法人税減税のかたちで増加給与分を政府が面倒をみようというアイデアが「毛針法人税減税」です。
(「匿名希望」氏とのやり取りでは50%を所得控除というアイデアを出しましたが、時限であれば、100%控除でもいいと思っています)


>#「デフレ不況」とは

>「供給<力>過剰(円高と海外企業の生産性上昇による低価格輸入品の増加)による
>財の価格低下と先行き不安による消費意欲の減退(需要減)によって、国内企業の売
>り上げ(供給)及び利益率が低下している」という定義で良いですか?


(円高と海外企業の生産性上昇による低価格輸入品の増加)が、供給力過剰の原因だとは考えていません。
低価格輸入品の増加は、どの企業も高い商品を売りたいわけですから、そうなったのはデフレ不況の結果です。
円高は、投機的変動を別にすれば、日本企業の生産性上昇の結果です。
海外企業の生産性上昇は、半導体では打撃を与えていますが、製品レベルで言えば、欧米主要での競争に影響を与えているものです。

「デフレ不況」は、供給力>供給>需要により財の価格下落と売上減少をもたらし、企業の債務返済能力と利益を圧迫しているというものです。

供給力>供給の部分は、バブル崩壊を起源とし、固定資本の長期的性格から長引くデフレ気味不況からそのギャップが拡大しているというものです。
供給>需要は、低中所得者負担増と先行き不安によってそのギャップが拡大しました。(赤字財政支出の縮小もその拡大要因です)


供給力過剰になった第一の要因は、バブル時の高価格での不動産取得(商業)と家計が“資産効果”から“逆資産効果”に転じたことです。(産業資本の財テク損失も、破綻という供給減少や給与増加抑制につながり、需要を減少させました)

商業資本は、さらに不動産価格が上昇しGDPも成長していくという前提で投資を行ったわけですから、それが幻想でしかなかったことで、不動産取得のために借り入れた資金を返済できない状況に陥っています。
姿形はまったく同じ店舗でも、通貨ベースで10億円の店舗投資でなければ採算が合わないのに30億円の店舗投資を行っていれば、“供給力過剰”なのです。
80年代後半に店舗投資を行った商業資本は、「バブル崩壊」で瞬時にして「デフレ不況」に突入したのです。

産業資本も、GDPの拡大を前提に設備投資をしていますから、需要規模が一定化するだけで供給力過剰になります。

そのような経済状況にあるのに、財政出動や税制でなんとか地価を上げたい株価を上げたいという政策や銀行だけは何とか救済したいという政策を採ってきたが故に、「デフレ不況」が全産業に波及し、マクロとして「デフレ不況」になったのです。
(これに付け加えれば、家電及び電子機器が半導体技術の発展で急速に低コスト化を実現できたことを指摘できます。このコストデフレ要因が、マクロ的なデフレ要因と重なり合うことで、デフレを加速したことは注意すべきだと思っています)

フロー(消費と正味の投資)とりわけ消費が拡大する政策を採らなければ、ストックである地価や株価を反転させることはできません。

「失われた10年」になり今なお失われ続けているのは、単に政策の誤りです。

>つまり供給<力>過剰とは「経済活動を行う主体が市場からコストを上回るマネーを
>手に入れられない。だから銀行からの借金(不良債券)や公的な補助金ばかりが増え
>て行く。そしてそうした企業が労働者に支払う給与の多くは国内製品への需要増では
>なく主に海外製品の輸入増に使われ、しかもその赤字のツケは国民の借金に転嫁され、
>将来不安(増税、年金破綻、インフレ不安)の増大をもたらしている」という現状のことです。

将来不安に失業を加えれば、このような状況をいかにして解消するかが、「デフレ不況」対策です。


>ただ現在の「デフレ不況」の原因と対策は、本当に黒字企業の給与(労働分配率)の
>低さが主因でその改善だけで十分でありバブル後の国内企業の生産性低下は本当に無
>視できるマイナーな効果なのか疑問はあります。

大丈夫です。
商業資本は淘汰もヤムナシですが、産業資本は、自分が生み出すものであっても、財の供給量が同じで需要が拡大すれば、甦ります。

黒字企業の給与水準が、「デフレ不況」の原因とは言いませんが、現状においてかつ中長期的にGDPを拡大させる手法は、黒字企業の給与水準を上げていくことしかありません。(再投資しないカネを大量に持ち続けている限り、「デフレ不況」を脱することはできません)


>例えば 経済産業研の高橋洋一氏の「物価連動国債と政府通貨の発行」については、
>どう思われますか?
http://www.inose.gr.jp/mg/back/02-7-3.html

政府通貨は有効な政策ですが、禁じ手だと考えていますので避けています。

物価連動国債であれ、日銀の国債買い取りを含む金融政策では現在の「デフレ不況」は解消できません。
通貨が不足しているのではなく、資本化される通貨が不足しているからです。

高橋氏が言っているわけではありませんが、赤字財政支出を年率5%ずつ拡大していく政策でも、みんなが怯えなければ「デフレ不況」を解消することができると思いますが、そのような政策は採られないでしょう。
(支出の拡大ではなく、赤字拡大分と年率3%の公共事業費を削減したものを合わせて“減税”に回すほうが効果的だと考えています。減税による歳入減少を補うというかたちです)

政府通貨の発行がみんなが怯えない財政支出の拡大策として使われるのであれば、反対はしませんが、好ましいものとは評価しません。

#為替と採算

>あっしら:貿易収支の赤字であり、国際競争力を大きく劣化させる円安です。
>たにんさん:円安によって輸入品の価格は上昇し、国内市場においても国際市場においても、生き残った国内産業の利益(国際競争力)が上昇しませんか?
>あっしら:供給活動の減少により総所得が減った状況では、輸入品の価格も思うように上昇しないでしょう。(米国のドル安・物価変動・給与水準変動の関係を見ればわかります)
>あっしら:現在のようなデフレ不況下で円安になれば、まずは、輸入メーカーや輸入業者そして国内販売業者の利益を圧縮することになります。そして、利益減を補うために、海外製造拠点の生産性を上げるか、より安いところから輸入するようにするかということになります。
>あっしら:物価が上がるということは、輸入財も就業者の給与も上がるということですから、国内産業の利益(国際競争力)も上昇しません。

たにんさん:
>勿論、それは円高でも同じことで、規制が全く無く、在庫の影響が無視できれば、為
>替変動の影響はありません。
>しかし在庫があり、賃金の切り下げや輸入財の価格変動が即座に生じない状況では、
>円安によって、利益は増大し、円高で利益が減少します。
>規制が強く、経済構造が硬直化している現状では為替変動の影響は大きいでしょう。
>結局、円高では黒字企業の減少と空洞化が進むことになります。

円高条件を現実の円高にしないというのが私の主張です。

円高条件である国際競争力を上昇させながら、緩やかなインフレのなかで実質賃金の上昇を実現することが、管理通貨制において、円高を現実化させず、国民生活も豊かになる唯一の経済金融政策です。

まず、国内生産した財を輸出することは“丸儲け”の経済行為です。
どう頑張っても供給=需要である需給構造を、供給<需要に転換してくれるのが輸出なのです。

輸入財を除いて供給活動に携わった人や物に支払われた通貨に対して、供給成果である財が輸出でなくなって少なくなるのですから、供給<需要というインフレ条件が生まれます。

次に、現代の輸出企業は過剰な在庫を持っていませんから、在庫で得られる利益の減少は一時的なものです。輸入財もすぐに下がらなくとも、まもなく下がり始めます。

円安により利益は一時的なものです。輸入財の価格上昇がそれを帳消しにします。
輸入財の価格上昇で生活費も上がるので、給与も上げざるを得ません。


71年以降円高傾向が続いた日本経済が経済成長を続け、逆にドル安傾向が続いた米国経済が経済低迷を続けた歴史を考えるべきです。
ほぼすべての通貨に対して高くなった日本経済のみが、先進国のなかで唯一10兆円を超える経常収支黒字を維持しているのです。

93年から95年にかけての一時80円割れという円高状況でも、貿易収支は黒字で、輸出企業は利益を計上したのです。
日本から輸入するしかないものが多ければ輸出は続き、丸儲けであるが故に、利益も計上できます。

供給力及び供給を減少させた結果生じる円安は、国際競争力の喪失を意味し、利益を増大させるどころか利益が計上できなくなるものです。

国際競争力を維持しつつ円高を抑える方法は、生産性の上昇に限りなく近いペースで給与を上げていくことしかありません。

貿易収支赤字になることで、日本経済は本当の地獄に陥ります。
もちろん、そのときは大幅な円安になっています。そのときには、現在と同じ経済価値観を持っているはずですから、国際競争力を回復することもできないでしょう。


>構造改革で非採算企業が消え、Safety-netによる<ある程度=海外へのマネー逃避を
>上回る>需要の下支えがあれば、残った潜在的優良企業は当然、利益が増加するで
>しょう。
>その条件では採算も取れずに銀行からの融資で、生産を続ける企業が存在すれば、収
>益改善の妨げになり、しかも将来不安の増大につながります。 

セーフティネットで、供給減少を上回る需要の下支えを行うためには、赤字財政支出を拡大するか、増税を行うしかありません。(みんながその道を選択して社会崩壊に結びつくことは別として...)

たにんさんの論から言えば、赤字財政支出の拡大は、期待合理性からさらなる「デフレ不況」になるのではないでしょうか?
増税も、とっても需要が減少しないところからとらなければならないので、優良企業が手元に残せる利益は減少するはずです。

この二つ以外で、非採算企業を消し、需要の下支えを行い、潜在的優良企業の利益を増加させる手法をお示しください。

#デフレ、先行き不安の原因と対策とは?


>非採算企業が潰れても、現行の法人税は減少せず、公共サービスの負担が低下しま
>す。
>その従業員の失業に伴う所得税の減少や消費の減少に伴う諸税の減少の効果をどう見
>るかですが、非採算企業が潰れても、他の企業に従業員の一部は吸収され、その企業
>の利益が増える効果があり、新規産業に吸収されていく効果もあります。

非採算企業が潰れるということは、供給の減少すなわち需要の減少ですから、他の企業に従業員の一部は吸収されることはないはずです。
なぜなら、非採算企業が支払っている給与が需要となっている現状でも、350万人を超える失業者が存在しています。
であれば、彼らの一部が就業者として吸収されているはずです。


>>インフレにすれば、経済活動が拡大することはおくとしても、700兆円まで積み
>>上がった政府債務の“実質負担”は軽減されます。

>金利がインフレ率より速く上昇しなければですね。最近はインフレ連動債などもある
>しそもそも日銀自体が金利上昇は実体経済の価格上昇より速いだろうと予測しています。

インフレ率は制御が難しいものですが、名目金利が自在に決定できます。
政治的に、日銀が低金利を採ってインフレ率を下回る金利を設定させることもできます。
インフレ連動債はこれからのものですから、その存在が公的債務全体のゆくえを規定するとは考えられません。


>それと年金生活者や低所得者の生活を破綻させないような緩やかなインフレが
><<本当に政府、日銀によって達成できるならば>>良いですが、どうでしょうか?
>族議員等の政治的圧力をきちんとコントロールできなければ投機的な資金流入による
>バブルの発生を再び招き、その皺寄せが今のように国民に跳ね返って来る疑いは濃いですね。

緩やかなインフレが可能なのは、おっしゃられるように政治力も重要な要素ですが、第一義的には供給力の問題です。
企業は利益をめざして活動しているのですから、名目的な需要が拡大すれば、余力の供給力を顕在化し、それでも足りなければ追加設備投資を行います。

悲劇は、供給力を喪失した後でインフレになる政策を採らざるを得なくなる事態に追い込まれることです。
そうなると、政治力も抑えが効かなくなり、ハイパーインフレになります。


>>失業と老後(年金)が先行き不安の主たる要因です。
>>国民の多くが期待合理性をもっているのなら、80年代から増税に対する先行き不
>>安で、「デフレ不況」になっていたでしょう

>今は財政破綻の恐怖がよりはっきり認識されています。50歳以下の大多数の国民は日
>銭で暮らしているようなもの(負債と資産の差引0)ですが、少数の富裕層(彼等が
>ほとんどの預貯金や資産を所有)や年金高齢者層、そして団塊世代の老人予備軍が増
>税や年金カットを恐れて消費や投資を減らしている効果は重要でしょう。
>そして老後(年金)の不安解消には、財政健全化(の目処を立てること)が不可欠です。
>失業に関して言えば、採算が取れない企業を税で保護するよりも、環境改善によって
>生まれる、新規産業や、同業の(潜在的)優良企業に吸収させるのが本筋だと考えます。

「デフレ不況」を解消したとしても、財政破綻は免れても財政危機は解消できないと考えています。(緩やかなインフレであり、ハイパーインフレを想定していないからです)

そうであっても、増税はしない、老後の不安はないという政策を政府は実行しなければなりません。

「新規産業や、同業の(潜在的)優良企業に吸収させる」ことは、繰り返しになりますが、「デフレ不況」のなかでは困難です。


あっしら:
>>国内マーケットに対する国内経済主体のコントロール力は非関税障壁だと非難され
>>るほどのものですから、可処分所得が増加したからと言って、外国経済主体がマー
>>ケットシェアを拡大するとは思えません。 

たにんさん:
>供給過剰が解消され、円や賃金が低下すれば残った企業は価格も上昇できるので、
>利益率も上がり株も上がる。

あっしら:
>>輸入が増加すれば、“国内供給”は減少しますが、それはそのまま需要の減少を意味するものです。
>>ですから、残った企業が、価格を上げたり、利益率を上げることはできず、さらに、価格は下がり、利益率は下がることになります。

たにんさん:
>論理が見えません。規制や障壁が弱く海外の製品が強ければ、いくら給与を上げてマ
>ネーを消費者に流しても、結局、海外に流れてしまうし、規制が強くて海外製品の
>シェアがアップしないとすれば、非採算企業の退場で多少全体の需要が減っても、生
>き残った少数の企業の売り上げ(シェア)が伸びるし価格も高くできるのでは?

ファッションブランドや農産物を除けば、日本企業以外の海外生産は別として、海外の製品は強くありません。

今でもセーフティネットはありますから、これまでのデフレ・スパイラルも、多少全体の供給=需要が減少することで起きているものです。
失業者の増加とデフレ不況の継続という現実は、多くの国民に消費支出を切りつめさせます。
セーフティネットも1年間かそこらですから、セーフティネットで得た所得もできるだけ切りつめられることになります。

因果は別として、これまでも“非採算企業”は退場してきたのです。その結果が、さらなるデフレ不況の深化です。

98年以降の現実を見れば、「非採算企業の退場で多少全体の需要が減っても、生き残った少数の企業の売り上げ(シェア)が伸びるし価格も高くできる」とはとうてい思えません。


>保護を止めれば非採算企業は潰れて輸入が増加し、それにより円安が進む。
>また必要なモノや欲しいモノは必ず買われるのでデフレ(消費減少)には必ず底がある。

その底が、ハイパーインフレによって確認される事態を恐れているのです。

「必要なモノや欲しいモノは必ず買われる」こととデフレは直接関係ありません。
必要なモノや欲しいモノさえも、安くなっていくことがデフレなのです。

必要なモノや欲しいモノしか売れなくなれば、他のモノを造っている企業も、生き残りのために、必要なモノや欲しいモノを造るようになるでしょう。
その競争で敗れた企業の破綻により、供給=需要が減少し、失業者も1千万人レベルになる。

円安で輸入物価も上がる。

このような状況で、国民生活保護の声が大きくなれば、財政が危機だろうがなんだろうが、赤字財政支出を拡大することになるでしょう。
その道に踏み込めば、さらなる物価の上昇とさらなる財政支出拡大の悪循環に陥ります。

>海外の製品が割高になり、ライバルが消えれば、当然、合理化や商品開発等に励んで
>競争力が高まった国内企業の売り上げも利益も上がる。割安な賃金や土地、財によって
>新規創業した企業(都市近傍のサービス業など)も発達する。そしてデフレも終息す
>ると見ています。

海外の製品と言っても、大半が日本企業の海外生産ですから、ライバルが消えるわけではありません。(農産物や魚介類も、日本企業の開発輸入です)
たとえば、200円の円安になったとしても、日本企業が生産しているのなら、日本よりも中国で生産したほうがローコストです。
海外の生産が割高になるという事態は、日本と中国の国民生活水準が逆転するようなとんでもない経済状況を意味します。


>例えば高齢者支援のための技術革新があれば、巨大な市場が期待できます。
>ネットワークを利用した低コスト医療診断サービスや、独居老人井戸端会議システム、>買い物等家事代行システムと一体化した高機能低コストマンションなど。地方都市で
>誘致してもいい)

ご指摘のようなことを現実化するためにも、「デフレ不況」を解消しなければならないのです。
介護保険や年金保険料の負担増に喘いで消費が減少しているなかでは、高齢者支援の巨大市場も育成できません。
それこど、若者世代からエンサの声が上がることになるでしょう。

国民経済が疲弊していくなかで、新規の巨大市場は生まれてきません。


>また今の高い地価では、何をしても多くの投資部分が地主に搾取されてしまいますし
>都市近郊の農民への固定資産税優遇など馬鹿げています。彼等が農業がやりたければ
>土地を売って田舎の広大な土地で集約的にやって下さいと言いたい。(地方の活性化
>にもなる)

高い地価が余剰通貨の資本化を妨げていると思っています。

「都市近郊の農民への固定資産税優遇」は、その農民の所得との見合いで適用を考えるべきだと思います。
都市近郊の農業は奨励こそ必要で、削減は愚策だと考えています。

都市近郊の農業を破壊せずとも、地方の農業の活性化は可能です。
(失業者が350万人超も存在するのですから)


>また例えば過去の700兆の赤字国債の積み上げが無駄な公共投資等では無く、純粋
>に、失業者への給付や減税だけに回っていたとしたら、年間大体60兆の需要、仮に
>一世帯辺り、300万の給付としても1500万世帯、つまり失業率20〜30%に
>すら対応できたことになります(実際は、せいぜい10%程度の業率で済んだことで
>しょうし、金融機関を破綻させるコストも0にはできなかったでしょうが、生活保護
>などは三人世帯で年間280万ですから単純計算で毎年4500万人が受給できたわ
>けです。壮大な無駄と言うか。。また1500兆円の個人預貯金が5%の金利で運用
>されていた場合の課税収入も、15兆円だったはずです。まあ、それはそれとして。
>。。)。

700兆円の公的債務がすべて無駄な公共投資に化けたとは思っていませんが、90年代の130兆円ほどの赤字財政支出は、低中所得者の減税原資に回していれば、今のような状況に至っていなかったと思っています。

(金利政策も、低中所得者の減税と一体化であれば、それなりに可能だったでしょう。銀行の存続を第一とした政策のツケは大きいと思っています)


>あっしら:どういう手法と過程でプライマリーバランスが改善するのか、その道筋をお示しいただけば幸いです。


>国民の所得と資産を完全に補足して課税強化を行います。資本収支の黒字が円高の1
>要因でもあるし、自然利子率に比べた貨幣利子率の高さがデフレの要因でもあるので、
>資産課税は財政改善、円高抑制効果、さらにデフレ対策効果も見込めます。それに
>よって、国民や企業の将来的な負担の見通しを明確に示します。

現実の資本収支は赤字ですから、円高の要因ではなく、円高抑制要因です。

「自然利子率に比べた貨幣利子率の高さがデフレの要因」ではなく、自然利子率<貨幣利子率という経済事象はデフレが生み出したものです。
そして、自然利子率<貨幣利子率という状況が、デフレを継続させます。

デフレが自然利子率<貨幣利子率を生み出したのでなければ、かつては自然利子率>貨幣利子率であったものが、なぜ、自然利子率<貨幣利子率に転じてしまったのかという説明ができません。
(閲覧者への参考:貨幣利子率は銀行の貸し出し利子率で、自然利子率はそれを元手に活動する企業の収益率)

「資産課税は財政改善、円高抑制効果、さらにデフレ対策効果も見込めます」と言われても、その論理が見えません。
資産課税は民間部門の金融資産のある部分を政府部門に移転するものです。
財政改善には一時的に貢献することは認めますが、円高抑制効果は認められません。なぜなら、金融資産の減少は、対外証券投資の減少につながりますから、円高傾向に動きます。(対外投資分は課税対象としないという政策を採っても、一時的な円安にはつながりますが、その反動で円高に触れ、中長期的には対外投資の減少で円高になります)

デフレ対対策効果も認められません。
金融資産が減少したのですから、より不安になって貯蓄の再積み上げに動くでしょうし、不動産や株式に向けられるお金も減少します。

重要なことは、それらの動きで経済活動を低迷させるデフレ不況がさらに悪化し、税収も減少するということです。
資産課税で得た税収も、税の減収により5、6年でチャラになる可能性が高いと思われます。


>課税強化だけでは富裕層の逃避を促進し限界もあります。ですから収支の改善のため
>公的部門は徹底的に縮小し、必要不可決なもの(外交、防衛、基幹的治安、法政、環
>境、戦略的経済インフラ対策、等)以外はできる限り民間や地方に移譲する計画を立
>てます。国有財産も売却可能なものから売却して行きます。

まず、公的部門の徹底的縮小も需要の減少になります。
生身の人間が従事しているのですから、そのためのセーフティ・ネットを追加支出しなければなりません。
物品購入なども加えた従来の需要からセーフティネットを差し引いた分がデフレ圧力になります。
公務員も所得税を支払っているのですから、セーフティ・ネットの追加支出と所得税の減少を考慮したとき、収支の改善ができるとは思えません。
また、需要の減少は、民間部門の法人税減少や所得税減少をもたらします。

使われていなかったり収益を生まない国有財産が売却できるとは思えませんし、売却できる国有資産であれば、利用価値があるか収益を生むものだと思われます。
利用価値があるものであれば、それによって恩恵を受けていた人たちに不利な経済条件を与えることになります。
収益を生むものであれば、生かしてミルクを売るのではなく、牛肉にするために牛を売るようなものであり、売却したほうが得か保有し続けていたほうが得かは微妙です。買い手が喜んで買うのであれば、売却は得ではないということになります。


>年金と国民健保は縮小し、その後の増分は必ず一定の期間内で税金で担保するように
>法制化します。

税負担については、基本的に賛成です。
しかし、税金で担保するためには、税収が伸びるマクロ条件をつくらなければなりません。
そうではなく税収を増やそうとすれば、税金を負担する人からエンサの声が上がることになります。


>そして健保び自己負担増や給付カットを自動的に行い、トータルの国民負担率が50%
>を超えないようにします。

このタガをかけても、ある生活水準以下になるような自己負担増や給付カットを自動的に行うことはできないでしょうね。
それが、民主制です。


>そうした政策を示し、端緒を実行するだけでも、際限の無い負担増や、年金破綻等へ
>の不安解消効果は大きいでしょう。民間への移譲によるビジネスチャンスの増加は、
>デフレ改善の加速効果も見込めます。

「民間への移譲によるビジネスチャンスの増加」というのは、年金や健保の民間への移行ってことですか?
手法がわからないので、生保のように破綻しなければいいのですがとだけ申しておきます。


>非採算企業の淘汰による一時的な失業の増加(需要の減少)は、safety-netで補い、
>新規産業等への吸収を待ちます。そもそも高卒などの若年労働者の5割しか就職でき
>ない状況は異常です。

未就業者や失業者の増加は異常そのものです。

非採算企業の淘汰による失業の増加は、一時的なものでは済まず、それが新たな失業者を発生させるものです。
セーフティ・ネットが需要を補い切るのであれば財政を圧迫し、セーフティ・ネットが需要を補い切れないものであるのなら、「デフレ不況」をより悪化させます。


>最大の問題は、やはり一時的な失業率の上昇や国内需要の減少に伴う弊害対策でしょうね。
>過剰な円高によって採算が悪化している潜在的成長性が高い企業にとって、日銀によ
>る円売り介入や、統合/合理化投資への課税優遇や補助金、低利融資なども有効でしょう。

円高によって採算が悪化しているのではなく、円高は利益を少なくしているものです。
そそて、利益が大きくなれば、否応なく円高になります。
国際経済取引で、利益を大きく得たいが円高はイヤだという論理は通用しません。

日銀や政府が、米国債を抱え込むことをよしとしても、円売りドル買いを継続しなければ、円安は維持できません。止めたとたんに、ダイエットではありませんが、リバウンドの円高になります。

「統合/合理化投資への課税優遇や補助金、低利融資」については、もう少し具体的に内容を示してもらわなければ、コメントできません。


>とにかく大事なのは、負担の明確化と、フリーライダー防止、投機的資金による搾取
>などへの対策によりより公正で信頼できるシステムに向かうことであり、デフレ(マ
>イナスの自然利子率=期待実質収益率)対策は経済環境の改善と、不足であれば資産
>課税等による貨幣利子率の低下で可能と思います。

主旨は理解できますが、これまでも書いてきたように、失業者を増加させる「構造改革」であれば、思われている改革も画餅で終わります。

「経済環境の改善」は、失業者を減少させるマクロ条件を実現させることです。

資産課税等によって貨幣利子率が低下できるとは思えません。
長期金利が1%を割ろうとしている状況は、金融逼迫ではなく、超金融緩和であることを示しています。
国債の発行ペースは下がるかもしれませんが、それと同時に金融資産も減少します。
資産課税は、前述したように、中長期的には国債の発行を増加させますから、貨幣利子率を上昇させることはあっても、減少させることはありません。


>中国等を見ればわかるように、適当な教育を受けたコストパフォーマンスの高い労働
>力、良い治安、規制が少ないなど、相対的に投資環境が優れていれば、マネーは集ま
>り景気は良くなることが期待できます。

「構造改革」論者が、中国のように、90%の国民は60年代の生活水準に後退させても、10%がより豊かになればよいとはっきり主張するのならば、それはそれで一つの価値観ですから、論理的な非難はしません。

中国の沿岸部住民の生活が良くなっているのは、日本国民の疲弊を代償にしていることをお忘れなく....

財的“富”は別ですが、通貨的“富”は世界ベースでゼロ・サムなのです。


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