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「信金業界や第二地銀業界は、預金の流失を理由に“ペイオフ全面解禁”の延期を主張するが、地域金融機関の預貸率はそれほど高くないのが実情だ。特に信金、信組の預貸率はともに60%台という極めて低い水準にとどまっている。こうした状況を見る限り、仮にこれまでと同様のテンポで預金の流失が続いたとしても、資金ショートの発生にはつながらない。従って“ペイオフ全面解禁”の延期は全く必要ない、というのが金融庁のコンセンサスだ」
金融庁幹部がこう断言してみせる。
このコメントに登場する「預貸率」とは、“ヨタイリツ”と読み、“貸出金÷預金”という数式で求められる。この比率の意味するところを一言で言ってしまえば、集めた預金がどの程度貸し出しに回っているのか、ということになるだろう。
「金融庁サイドとしては、信金、信組の預貸率は低すぎる、という認識がある。こうした低預貸率の状況から見て、この両業態は適切な金融仲介機能を果たしていないと言っていいだろう」(前述の金融庁幹部)
実を言うと。この「預貸率」に関して言うならば、信金業界は過去五年間で約10ポイントも減らしているのが実情だ。信組業界に至っては約15ポイントも激減させているのである。
「大手銀行のみならず中小金融機関の貸し渋りについても、極めて深刻な状態にある」(前述の金融庁幹部)
以下で、各業態別の預貸率を五年前対比で紹介しておくことにする。
(上段・2002年3月末、下段・1997年3月末)
都市銀行…90%、101%
長期信用銀行…92%、86%
地方銀行…75%、79%
第二地方銀行…79%、86%
信用金庫…62%、72%
信用組合…63%、79%
こうした数字を見る限り、地銀、第二地銀は比較的健闘している、と言えるだろう。
「そもそも信用金庫業界では、資金需要が旺盛な都市部を地盤とする信金の預貸率が80%程度、逆に地方部で60%程度、というのがおおよその目安だった。そうした水準から比較してみると、現在の預貸率が低すぎることは明らかだ」(都内に本店を置く信金理事長)
とはいえ、各信金ともペイオフに伴う預金の流失に備え、預貸率で約10%程度のリスクバッファーを設定していることも事実。
つまり、ペイオフ凍結時と比較して、預貸率が約10%ほど低くなるようにコントロールしているのである。
「それにしても、預貸率60%台というのはあまりにも低すぎる。逆に言えば、仮に全預金量が四割流失したとしても、信金、信組は耐えられることになる。果たして4割も預金が流失するなどということがあり得るだろうか。預貸率80%弱の第二地銀も同様だ。こうしたことから考えて、預金の流失を理由に、“ペイオフ完全解禁”の延期を主張するということは、極めてナンセンスな話だ」(前述の金融庁幹部)
こうした話を聞く限り、ことペイオフ解禁問題に関して言えば、“分”は金融庁の方にあると言えるだろう。
果たして、こうした金融庁の指摘に対して第二地銀、信金はどのように反論するのであろうか。