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(回答先: 『中央公論』7月号掲載の榊原論文の考察(経済コラムマガジン7/15) 投稿者 Gaia 日時 2002 年 8 月 24 日 01:52:54)
Gaiaさん、関連投稿ありがとうございます。
Gaiaさんへのレスではありませんが、内容について少し書かせていただきます。
ハイパーインフレを考慮している榊原氏は、現在的な経済状況においてそれを見ているのではないと考えています。
現在のような「デフレ状況」が続いていけば、供給力(産業固定資本や耕作地)の減少がじわじわ進む一方で、固定的非就業者数も増加し、高齢化構造での年金生活者数も増加します。
民主的先進国であれば、一時的な耐乏をお願いすることはできても、長期的な耐乏を強いることはできません。
公共事業は緩和的に縮小できるとしても、社会保障関連は急速に増加せざるを得ません。
供給力が貿易収支が赤字(潜在力はともかく顕在的には供給不足)まで減少すれば、社会保障関連の政府支出増加は、大きな物価上昇圧力になります。
当初は、失業者の減少効果をもたらし、潜在的な供給力が顕在化するという好ましい効果を与えるかもしれませんが、それが限られたものであれば、物価上昇が続き、実質的な購買力を保証するために、さらに財政支出を増加させなければなりません。
また、日本企業が海外に製造拠点を多く移転させていれば、国内供給不足を補うために輸入も拡大します。
これにより、貿易収支の赤字にとどまらず経常収支の赤字まで国際収支が悪化していれば、円安が進行し、物価上昇要因となります。
サービス価格も、自律的なものではなく、財の価格変動に影響を受けるものですから、財の価格が上昇すれば、移民でも受け入れない限り、産業分野の給与が上がるように、否応なく上昇します。(サービス業は産業よりも人件費率が高い分野です)
工業製品の生産性上昇=財の価格下落余地も、潜在的な供給力があるときやスクラップ&ビルド的な技術革新には実現できますが、固定資本的な供給力そのものが壁にぶつかる状況や技術革新のテンポが遅い段階であれば、あまり期待できません。
(ともかく、700兆円の政府債務問題はハイパーインフレで飛躍的に解消されます。新規に国債を発行するのであれば、名目金利は高くなりますが、実質金利はマイナスの可能性が高いでしょう)
>誰も気にしていないが、問題は「土地」である。「物」「サービス」の価格上昇がな
>くても、地価は上昇する可能性が高いと筆者は考えている。たしかに日本では一頃の
>「土地神話」がなくなったといわれているが、余剰資金が土地に向かうことは十分考
>えられる。ただしもし次にバブルが起るとしたなら、東京の一等地に限られると考え
>る。なにしろ日本は、過去にないほどの大きな過剰流動性が存在している。おそらく
>GDP比で、列島改造ブームや先のバブル期よりも大きな過剰流動性があると思われる。
もちろん、財・用役・賃金の価格が上昇すれば、地価も上昇します。
これを如何にして、バブルではなく、物価上昇と同一ペースに合わせるかや経済論理価格をそれほど超えない価格にするかが重要になります。
土地の名目価格が上昇すれば、過剰債務=不良債権問題も解消に向かいます。
土地価格を合理的な範囲で抑え込まないと、供給力を増加させないかたちでの持続的な経済成長も実現できなくなります。
このようなことから、日本経済が(過剰)供給力を維持している段階で「デフレ不況」を克服することが肝要だと考えています。