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平成不況でサラリーマンは、倒産やリストラの恐怖に脅え、ボーナスもカットされ、収入は減るばかり。そんな中、政府税制調査会は6月にまとめた税制改革の基本方針に配偶者特別控除の廃止を明記した。その行方は今後の論議次第だが、廃止されれば約4000億円の実質増税となり、専業主婦のいる家庭の苦しい台所事情は悪化するのは必至。本当に廃止すべきなのか。
唐突にも見える早急さで、小泉首相の指示を受け、政府税調が廃止の方向を打ち出した配偶者特別控除。
財務省は12日までに、「配偶者特別控除」の簡素化案の骨格を固めたが、年収103万円までの妻(配偶者)を持つサラリーマンに適用される割増しの優遇部分のみを撤廃し、約4000億円の増収を目指す。国税庁によると、約940万人のサラリーマン家庭らの台所を直撃するという。
実質増税となるわけだが、その狙いについて、日本証券研究所主任研究員の紺野典子氏は「財務省の論理は、取りやすいところから取るということ。つまり、高所得者の税率を下げ、そこそこの人たちから『広く薄く』取るという。彼らは消費税の税率を上げるという話もしていますが、『広く薄く』を繰り返すと『広く厚く』になってしまい低所得者をギュウギュウに締め上げることになる」と指摘する。
それでも、専業主婦を想定した配偶者控除や同特別控除には、働く女性の立場から不公平を訴える声も強く、紺野氏も「働く女性の社会進出もあるほか、控除の仕組みが非常に複雑なこともあり、見直すことは基本的に賛成です」。
ただ、経済がどん底にある目下の状況では「今はやるな!」とし、「税は国民のために使うもので、国民を苦しめるものではない。ほかに議論すべきことがある」と付け加えた。
政府税調に提出された「諸控除の見直しの影響」という資料を見ると、仮に配偶者控除と配偶者特別控除の両方が廃止された場合、年収700万円で夫婦子供2人の家庭では、国・地方を合わせた税負担額が11万6000円もアップする。
また、一部報道の試算では、特別控除だけが廃止された場合、同条件の家庭で妻の年収が70万円以下なら約6万円の増税になるという。
今回は特別控除の廃止だけが明記されたが、「当然、次は配偶者控除にも手を付けることになる」(財務省関係者)。
政府税調の前会長だった千葉商科大学長の加藤寛氏も同控除の廃止には異論を唱えている。
加藤氏は、かねてから「歳出カットが不十分のまま税制改革すれば、国民が増税と思うのは当然」と主張し、実質的な増税となる今回の見直しが歳出の抑制に先行するのを疑問視する。
そもそも、税制改革の本来の目的は、「日本経済を活性化させるため」(加藤氏)だろう。
日本経済の崩壊危機が囁かれるなか、税制改革には所得税や消費税、資産課税など数多くの課題があり、加藤氏も「今、やるべきことは資産課税の見直し。今、所得税に手を入れても(景気対策の効果に)間に合わない」と話している。
政府税調は12日の総会で、年度改正に向けた議論をスタート。全国5カ所で公聴会を開き、秋にも15年度改正の最終案をまとめるが、賞与などが伸び悩むサラリーマン世帯から反発の声があがるのは必至だ。