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ナスダック指数はついにテロ後の最安値を記録。今の状況は景気の調整局面、「昨秋から始まった景気の急回復の踊り場」なのかも!?
■ 21日(金)ナスダック指数がテロ後の安値に接近、ハイテク総崩れ
米国株式市場はついにテロ後の最安値を試しに行く展開となりました。下げ相場を先導したのはナスダック指数です。
まずは18日(水)の取引終了後のアップル・コンピューターとAMDによる業績予想下方修正です。アップルの4−6月期見通しは、従来売上高16億ドル、一株当り利益は11セント以上と予想されていましたが、これをそれぞれ14〜14.5億ドル、8〜10セントに下方修正しました。また、AMDも4−6月期の決算では「大幅な営業赤字」を計上すると発表。これによりアップル、AMDともに約15%の下落となりました。
また、会計不信等、個々の企業のスキャンダルのニュースは止まる気配がなく、今週もラムバスやマイクロン・テクノロジーといった半導体関連企業のスキャンダルが報道されました。メモリー技術の根幹を保有するラムバスは米当局から独占禁止法で告発され、株価が2日間で41%も下落しました(ラムバスはハイテクバブル絶頂の117ドルという高値から現在はわずか3ドル台に暴落しています)。また、DRAM最大手のマイクロン・テクノロジーも司法省から捜査を受けていることを発表しました。DRAMについては他に韓国のサムソン(三星)、ドイツのインフォニオン・テクノロジーズ、日本のNECと日立の合弁企業であるエルピーダにも召喚状が出ています。これらの大手企業が市場実勢を下回る価格で製品を販売し、中小メーカーの締め出しを図ったとの容疑がかかっています。マイクロンも2日間で22%下落しました。
ナスダック指数はこれらのハイテク企業の下落により、ついに昨年9月以来の安値に達しました。終値ベースではテロ後の最安値まであと20ドルあまりの1,440ドル(6/21)となりました。
■ 「景気腰折れ」は悲観的すぎる...?それとも「逆資産効果」が働く?
株式市場を見ていると、いまにも景気回復が終わってしまうように思えます。しかしながら、その可能性は常識的に考えて極めて小さいと思われます。現在の状況は「昨秋から始まった景気の急回復の踊り場」といったところでしょうか?景気の方向はずっと上向きなのですが、昨秋から春先までの回復があまりにも急ピッチだったために、スピード調整が入っているという状況です。
「バブル崩壊」の影響はもちろん大きいのですが、昨年の1年間で4.75%という利下げの効果や、労働コストがかなり下がってきたことによる企業の増益効果・ディスインフレ圧力がでてくるのはこれからです。筆者には「金利低下と株価上昇の同時進行」による本格上げ相場の条件が整っているように見えるのです。そもそも、景気回復が始まってまだ半年あまりです。すぐに終わってしまうと考えるのは感覚として無理があります。
しかし、これ以上株式市場の低迷が続くと実体経済に多かれ少なかれ悪い影響をもたらします。株価低迷が企業や個人のマインドを冷やす、いわゆる「逆資産効果」です。最近では、FRB(米連邦準備制度理事会)等の政策当局も「逆資産効果」を懸念するコメントを発し始めました。しかしながら、米国では不動産価格が少々過剰と思われるほどに上昇しています。「資産効果」全体としてはそれほど景気に対して悪影響はないと考えられます。
■ 景気回復初期に株式市場が下落するのは大恐慌以来
現在のように、景気回復局面の始まって間もない状況で株式市場が下落するのは1920年代以来だそうです。大恐慌と今回を比較すれば「バブル崩壊」という共通点がありますので、今目の前で起きている現実がまったくおかしなことかといえば、そうではありません。しかし、もうひとつ覚えておきたいのは、大恐慌後、安値に到達するまでに要した時間が2年と10ヶ月だったということです。
筆者も昨年のテロがあまりにも衝撃的であったため、バブル崩壊がまだ最近のことように思ってしまいますが、ナスダック・バブル崩壊の2000年3月からすでに2年3ヶ月が経っています。日柄的には十分です。足許の下落が「テロ」や「企業会計」、「アナリストのいいかげんな投資判断」等の要因で起きているにしても、それ以前の好景気の時には気づかなかったこれらのリスクが「バブル崩壊」により炙り出され白日の下にさらされただけのことで、水準的にも日柄的にもすでに十分に相場が調整している可能性はかなり高いと思います。
現在の株価水準が続くためには「9.11クラスのテロが日常的に起きる」ほど、平和ではない世界になる必要があると思います。テロ後の安値は、多くの人が平和でなくなることを覚悟し、それでもこの水準だったら買っても良いという判断の下につけた水準です。あと数ヶ月のうちには「長期金利低下と株価上昇の同時進行」が始まると思われます。
提供:株式会社FP総研