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Re: FRBの研究者が本当に経済論理をわかっていないの? 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 25 日 23:11:18:

(回答先: デフレ:日本の失敗を教訓に? FRBが論文公表[毎日新聞6月25日] ( 2002-06-25-21:05 ) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 6 月 25 日 21:40:20)

タイトルに期待しながら読んだが、内容が本音として出てきたものなら、FRB研究者の経済認識力を疑わざるを得ない。
(グリーンスパン議長も、そう思っているのなら悲劇だ)


>91〜95年初めに日銀が行った利下げに関し、「日銀が実際に実施したよりも2%
>多く政策金利を引き下げていれば、デフレは回避された」と、小出しの対応が失敗を
>招いたとの見方を示している。


経済学が抱えている最大の誤謬は、「高金利は物価を抑制し、低金利は物価を上昇させる」というものである。
この理論の根底には、「需給理論に基づいた、貨幣の高価格(=高金利)は貨幣への需要を減退させる」という理論があると思われる。

しかし、現実の経済論理は、

高金利:

金利負担の増大はコスト上昇に直結するので物価を上昇させる。
但し、可処分所得の総和=総需要が一定であれば、物価上昇が販売不振を招くため、企業収益が低下したり、物価反落の引き金になる。

好況期から不況期への転換は、基本的に、“但し書き”の論理で引き起こされる。


低金利:

金利負担の減少はコスト下落に直結するので物価を下落させる。
但し、競争条件が緩ければ物価は下落せず、企業収益の上昇に貢献することになり、金融資産価格の上昇をもたらす。

「デフレ不況」は、この論理でも生じており、「バブル形成」は、“但し書き”の論理で起きた。


貨幣の“価格”:

借り入れは、その貨幣を使ってより大きな貨幣を手に入れる目的で行われるものである。
名目的に高い金利でも、インフレにより、その貨幣を使って生産する商品がより高く売れるのであれば、積極的に借り入れをする。
(限られた可処分所得で消費してしまうものを買うという一般商品と貨幣は、性格がまったく異なる“商品”である)

名目金利が9%でも、インフレ率が10%であれば、実質金利はマイナス1%である。
名目金利が2%でも、インフレ率がマイナス1.5%であれば、実質金利はプラス3.5%である。

【参考データ:バブル形成から00年までの物価変動】


   消費者 公定  失業  家計  輸入 通貨  貸出
   物価  歩合  率   実収入 物価 供給量 残高
===========================================================
1986  0.7  3.00  2.8   1.8  -35.8  9.2  26.6
1987  0.0  2.50  2.8   1.7   -9.1 10.8  12.5
1988  0.7  2.50  2.5   4.5   -4.6 10.2  10.2
1989  2.4  4.25  2.3   3.0   7.5 11.2  10.8
1990  3.1  6.00  2.1   5.2   8.7  7.4  7.5
1991  3.2  4.50  2.1   5.2   8.2  2.2  4.4
1992  1.7  3.25  2.2   2.7   -6.1 -0.2  2.4
1993  1.3  1.75  2.5   1.2  -10.3  2.2  1.3
1994  0.7  1.75  2.9  -0.6   -5.6  2.8  0.1
1995  -0.0  0.50  3.2   0.6   -0.1  3.2  1.3
1996  0.1  0.50  3.4   1.5   9.7  3.0  0.4
1997  1.8  0.50  3.4   2.7   7.4  3.9  1.0
1998  0.6  0.50  4.1  -1.1   -4.9  4.0  -0.9
1999  -0.3  0.50  4.7  -2.1   -9.3  2.7  -4.1
2000  -0.7  0.50  4.7  -2.4   4.7  2.1  -0.1


※ 通貨供給量はM2+CDの残高

このデータから、『91〜95年初めに日銀が行った利下げに関し、「日銀が実際に実施したよりも2%多く政策金利を引き下げていれば、デフレは回避された」』と言う論拠を見つけることはできない。

金利のみを取り上げれば、95年に公定歩合を1.25%引き下げたことで、デフレ傾向が生まれたのである。

92年から94年までは、「超円高期」でそのおかげで輸入物価が大きく下がっている。これは、消費者物価の下落余地を生む経済事象である。94年はすでに本格不況期に突入していたので、販売量を確保するため、物価下落圧力になったはずである。
96年と97年は「円安」で、輸入物価が上がり、消費者物価も上昇している。

企業は、できるだけ高く商品を売りたいと考えているが、野放図な価格上昇は競争と需給バランスで抑制される。
そして、不況で商品が売れないときは、競争と需給バランスでコスト的に可能ならば、価格を下げて販売量を確保するものである。金利負担は重要なコスト要素である。


91年から93年までのあいだであればデフレにつながらなかった可能性が高いと思うが、94年に2%も金利を下げていれば、デフレはその時点から顕在化していた可能性が高い。


誰かが、“あっしら”理論の誤りを指摘してくれないと困るんですが...。

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