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「実は金融庁がみずほフィナンシャルグループ（以下みずほグループ）に対して実施したシステムトラブルに関する一連の調査、検査において、“検査妨害”ととられても何ら不思議ではない行為が発生していたのです。言うまでもなく、金融庁サイドとしてはこうした事態を極めて重く受け止めているのが実情です」
金融庁幹部がこう断言してみせる。
そしてこう続ける。
「みずほグループで発生した一連のシステムトラブルに関して、金融庁は５月のゴールデンウイーク明けから立ち入り検査を実施していました。ところが、検査実施当初、みずほグループはこの検査に対して、極めて非協力的な対応に終始していたのです。“非協力的な対応”というよりむしろ、事実上の隠蔽（いんぺい）工作を行っていたと言った方が適切でしょう…」（金融庁幹部）
この金融庁幹部によれば、具体的には以下に示すような状況があったのだという。
「５月１３日に実際に検査を行うにあたって事前にみずほグループの関係者に対してヒアリングが実施されたのです。その際にみずほグループサイドは、一連のシステムトラブルの主原因が４月１日以前の不十分な事前テストにあったことをすでに把握しておきながら、検査官に対して一切説明、報告をしなかったのです。しかも、みずほホールディングのシステム担当役職員も、みずほ銀行のシステム担当役職員もまさに口裏を合わせたかのように、本当の事実関係を明らかにしようとはしなかったのです。そうした状況から考えてまさに組織だった隠蔽工作と言わざるをえません」（前述の金融庁幹部）
しかし、みずほグループサイドが“隠蔽”しようとしたテスト不足については、５月末になって検査官サイドから指摘を受けるところとなったのである。
「みずほグループは、この段階になってようやく一連の事実関係−つまり事前のチェック、テストが圧倒的に不足していたということを認めてきたのです。もし仮に、金融庁サイドの指摘がなければ、みずほグループはなぜシステムトラブルが発生したかについて、最後まで明らかにしなかった可能性すらあるのです。これでは“隠蔽工作”を行っていた、と言わざるを得ません」（金融庁幹部）
こうした金融庁サイドの指摘に対してみずほグループサイドは、「実は、そもそもそうした事前テスト不足の責任を負うべき立場にあったのは、トラブルが発生したコンピューターシステムを全面的に仕切っていた旧第一勧業銀行なのです。しかし、みずほグループ内部でそうした点を改めて指摘してしまうと、３行の結束に水をさすことになってしまう可能性があったのです。ですから、その部分については非常にナーバスな対応となってしまったのです」（みずほグループ経営中枢幹部）。
みずほグループは１９日、一連のシステムトラブル発生に関して担当役員の退任や減給を含めトータルで約１２０人にのぼる処分について発表する予定だ。
とはいえ、仮に、前述したような“隠蔽工作”を行っていたことが事実だとするならば、そうした処分だけで済ますことはできないだろう。
「仮に、“検査忌避”ということにでもなれば、銀行法に違反した事実として刑事責任すら問われかねない問題に発展してしまうのです」（金融庁幹部）
金融庁が今後、みずほグループに対してどのような対応をとるのか、まさに必見だ。

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