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Re: 経済学と経済学者に暗鬱な気持ちを抱かせる講演内容 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 18 日 14:34:16:

(回答先: デフレ悪玉論は学者の断末魔−松原隆一郎氏−6月18日(ブルームバーグ) 投稿者 デフレと生きる 日時 2002 年 6 月 18 日 11:49:50)

いちおう「デフレ悪玉論」の立場にいるものとして一言。

人々に安心を与えることでという松原教授の経済再生論理に異論はないが、その具体的方策には大きな疑義があるし、非難の対象となっている主流派経済学も、指摘されているレベルの論理を展開しているのだろうか?井戸端会議や評論家の講演ではなく、経済学的論文などで...


>  あなたは、なぜお金を使わないのか? 消費者を対象にした多くの調査で、この
>質問に「デフレだから」と答える人は、1人もいない、と松原氏は言う。「人々がお
>金を持っているにもかかわらず、消費をしないということは、実は、経済学にとって
>致命的な問題だ。経済学の枠のなかでは説明がつかないため、ひねり出されたのが、
>デフレだから買い控える、という説明だ」−−。

主流派経済学者がそのような理屈を付けているのなら、松原教授が非難するのは当然だが...

5%や10%ならいざしらず、年率1%程度のデフレであれば、個人がデフレだから買い控えるという消費行動に出ないだろう。(食糧など生活必需品については、物価は上がっていない程度の認識だろう)
住宅については、地価が年率5%で低下しているので、買い控えが起きているだろう。


個人消費という対象であれば、可処分所得の絶対額と消費性向で動きは規制されることになる。消費性向が高い人の可処分所得が減少すれば消費が減少するので、その人数が増えれば総消費が減退する。
消費性向が低い人の可処分所得が減少すれば、しばらくのあいだは消費性向を高めることになるので、消費額は減少しない。

なんにしろ、家族が生活できるように必死で働いている人や日々の生活に追われている人は、それほど多額のお金の“使い道”を考えているわけではない。

経済学者で、個人消費の不振を「デフレだから買い控える」という論理を主要な根拠にしている人がいるのかな?(いるだろうとは思うけどね)


>そうなると、モノを買わず、お金自体を抱えているのは異常であり、本来あってはな
>らない事態、ということになる。「だから、デフレによって、手元にお金を置いてお
>けば将来より多くの価値を持つから、今はモノを買わない、という説明が経済学者に
>よってされることになる。しかし、一般の人はだれもそうは答えていない。こうした
>見方は、実証科学としては最初から間違っている」−−。

デフレがなぜ経済全体に悪影響を与えるかというと、人を雇ったり、機械設備を購入したり、原材料を仕入れたりして、生産した商品を販売したり、サービスを提供することで、“元のお金”よりも多くのお金を手に入れたいと考える“真の経済主体”が、そのような行為を馬鹿馬鹿しいと判断して控えるようになるからである。

1億円を投入して、6ヶ月後にその成果物を販売して手に入れる金額が9900万円と予測したら、何もしないでそのまま1億円を保有し続けるか、年利0.01%でも預金していたほうがいいと考える。

動かす金額が多くなればなるほど、1%のデフレという現実が重みを増す。
そして、“真の経済主体”が経済活動を控えるということは、雇用を減らしたり、生産手段をかわなくなるということである。機械設備や原材料を買わなくなれば、それらを生産している経済主体も、雇用を減らすことになる。

このような流れで職を失った人の消費性向が100%であれば、その可処分所得の総和が個人需要の減少となる。
そして、個人需要の減少が、“真の経済主体”の経済活動を控えさせるという悪循環につながっていく。


主流派がどのように言っているかはよく知らないが、松原教授が語っている主流派批判は、社会学者に対する批判のように思える。
“一般の人”の消費行動を持ち出して、主流派経済学の実証科学性を云々するのは、それこそ実証科学性を疑われる論理である。


松原教授は、消費を喚起するための重要要因として打ち出している“安心”を与えるために、「働く時間を短くするワークシェアリングでは、特に能力のある人は耐えられないだろう。だから、平均賃金を下げる一方で、能力給制を採用すれば良い。そうすれば、企業も競争力を維持することができる。消費者にとっても、雇用を守ることが将来不安をなくすことにつながる」と主張しているが、これは、雇用維持にそれなりに役立つ政策だが、総需要は減少させる政策だから、デフレを継続させ、じりじりと失業者を増加させていくことになる。


松原教授がどのようなポジショニングにあるのか、主流派と彼に呼ばれている経済学者がどのようなことを実際に言っているかはよく知らないが、それらにプラス「マルクス主義経済学」ということであれば、日本の経済学者に期待は持てないということになる。

そして、そのような教授に学問的薫陶を受けた経済官僚にも...

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