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商品相場は世界景気循環の先行指標である。昨年の景気低迷局面においても、また今 年前半の景気回復局面においても先行指標の役割を果たしていた。しかしながら最近の商品相場は以前ほど強気ではなくシグナルは幾分交差しており、この先の景気に対する不安 を示唆しているのかもしれない。
従来のオールドエコノミー･インデックス(JOC貴金属)は99年後半にピークを迎え、 その後下げ局面(2000年の6月、9月、2001年の1月を除いて)に入り、昨年の11月に下 値をつけている。この期間に全体で貴金属インデックスは1/3近くの価値を失っている。 一方ニューエコノミーの代表的なインデックス(DRAM256チップ先物)も同様な動きをして いたが、下げ方はより一方的であり、また下げ幅も比ではなかった。このインデックスは 昨年11月にかけて5割以上下げている。これらのインデックスは世界景気が落込む際に優 れた先行指標であった。主要国の景気見通しの大半が世界の好景気が持続するとみていた 時、幾分控えめな数字を示唆していた。経済協力開発機構(OECD)は、99年後半時点で 2000/2001年のOECD地域(30カ国)での国内総生産(GDP)見通しはトレンドを上回り 2.5%/3.0%と予想していた。実際には2.9%/1.7%の結果であった。
オールド/ニュー･エコノミー･インデックスともに今年は年初から回復をみせていた が、3月上旬が分岐点となった。オールドエコノミー･インデックスはその後も堅調な動き をみせ、5月上旬までに15%近く上昇している。しかしながらそれ以降上昇が止まっており、 特に1-3月期に米経済が急成長し、日本もその可能性があるなか、今年後半はより緩やか なOECDの成長パターンが見込まれる。だがニューエコノミーは問題を抱えているように思 える。3月上旬にかけてDRAM256チップ先物は4倍に跳ね上がったが、その後急落してピ ークの半値を割り込んでいる。当初の在庫積み増しは、ハイテク産業が引き続き合理化と 統合を推し進めているなか、短命に終わっている。DRAM先物が仮に先行指標であるとする と、ニューエコノミーが経済活動全体に今年後半重くのしかかる可能性は否定できない。
エネルギーに目を向けてみると、石油価格はこれらの非エネルギー商品指数と違って 逆指標であり、価格上昇はリセッションを意味する。価格の暴騰は財政の引き締めと同等 である。98年末1バレル=10ドルを下回っていた石油価格が2000年の10月には35.30ド ルまで上昇したことは世界不況の前兆であった。年末にかけて下落した石油価格は現在25 ドル近辺まで戻している。これは他の商品相場と違って一部、石油輸出国機構(OPEC)加盟 国および非OPEC加盟国による減産が厳格に実行されたためであった。だがこの体制が崩れ る可能性がある。世界最大の石油輸出国であるロシアはすでに7月以降は独自の道を行く との意思表示をしている。ということは国際情勢緊迫のなかでの価格操作や政治目的で石 油を利用することがなければ、最悪時は過ぎたということである。
しかしながら経済成長の予測は特に需要面からみるとあいまいである。米国もOECD 諸国も石油在庫は十二分にあり、4月にベネズエラやイラク絡みで石油価格が一時上昇し た時も株式市場への影響はほとんどみられなかった。現在の状況から判断すると、この先 行き石油需要は落込むことが予想され、事実上、石油価格の上昇が主要石油消費国の需要 低下を促している。
｢今年後半の経済成長率は期待を裏切る可能性があり、OECDは今年後半の加盟国の経 済成長率を2.9%とみているが、幾分楽観的すぎるのではないか｣ 以上が商品相場からのメ ッセージである。 By Peter Luxton (翻訳日6月6日）
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