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ゴールドマン・サックスの評価は、財務省官僚にはとりあえず福音だろう。

しかし、元々明示的なデフォルトをやる必要もない円建て日本国債の破綻問題は、インフレなどでその実質価値が大幅に下落するかどうかであり、それは、経常収支の黒字には直接関わらない。（外貨建て国債であれば大きな意味を持つ）

内国人が９５％を引き受けている「国債サイクル」が破綻することなく継続できるのは、国債残高の増大に比例して、日本国内に存在する余剰資金が国債引き受けに向けて増大するかどうかにかかっている。

貿易黒字であれ、経常黒字であれ、経済主体が受け取った外貨は円に転換され、再生産や投資・貯蓄に向けられている。貯蓄や投資に向けられた一部は、国債にも向けられている。
「経常黒字が５年後も赤字に転じる可能性は極めて小さい」では国債問題は解消されない。
「経常黒字がこれからも国債残高の増加以上のペースで拡大する」という見通しであれば、それなりの妥当性を持っていると言えるが．．．。

さらに、カネ余り＝経常黒字、カネ不足＝経常赤字というのは、マクロ経済に対する結果論的で静態的な見方でしかない。端的に言えば、拡大均衡による経常赤字もあれば、縮小均衡による経常黒字もあるのだ。（９０年代に繁栄を謳歌した米国は拡大均衡による経常赤字の典型）
経常赤字（外国から資金流入）でも、日本国債のために資金が流入するほうが「国債サイクル」のためには好ましい。（経常黒字でも資本収支が赤字であれば、資金は流出していることになる）

ムーディーズも、円建て国債とは違って、外貨建て日本公的債券はトリプルＡである。
発展途上国や経常赤字国が陥る可能性がある外貨不足によるデフォルトは、日本では起きないと考えているのである。
経常収支の黒字は、その程度の支えである。

ゴールドマン・サックスが、日本の経常黒字をトリプルＡの根拠とするのなら、厖大な経常赤字を続けながら６兆ドルにも残高が達している米国債の格付けをシングルＡにすべきだろう。（日本国債も米国債も、自国通貨建てである。日本は、何が何でも利払いと償還を続けようとするだろうが、米国政府は？？？）

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※　参考書き込み

『【国債問題への定量的アプローチ】その１：国債発行高と国債償還の推移』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/736.html

そのレスとして、以下の書き込みがぶら下がっています。

『【国債問題への定量的アプローチ】その２：デフレ下とインフレ下での国債負担の差異』

『【国債問題への定量的アプローチ】その３：非金融経済主体の国債保有増加がもたらす「国債サイクル」の歪み』

『【国債問題への定量的アプローチ】その４：「国債原資」である預貯金・保険料の残高見通し』

『【国債問題への定量的アプローチ】その５：「構造改革」的税制変更は税収増大をもたらすか？』

『【国債問題への定量的アプローチ】その６：財務省の国債償還プラン』

『【国債問題への定量的アプローチ】その７：ムーディーズの“思考停止”コメント』

『【国債問題への定量的アプローチ】その８：ハイパーインフレによる政府債務の実質切り捨て＝デフォルトへの道』

『米国の「デフォルト宣言」→新世界通貨体制』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/237.html

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