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(回答先: Re:ご質問 投稿者 へそ出し地蔵 日時 2002 年 10 月 16 日 04:52:40)
>実相を明確に認識しようとしないからうんぬんという点はどういう意味ですか?
戦中の実相とは、ここで書記長氏がやや美談的に主張されていることの総称です。
戦中の日本に全体主義的かつ軍国主義的な傾向があったのは間違いありません。しかし、連合国と呼ばれる国々でも戦中は多かれ少なかれ、似たような社会傾向が認められたのであり、当時の日本のみを取り上げて論難するのはフェアではないと思います。
幕末から大戦終了までの歴史を学べば学ぶほど、「これ以外に日本の取り得た道はあったのだろうか」という問いに回答を見出すのは難しくなります。つまり、誰が指導者であっても、歴史的・民族的な様々な制約を考えれば、ああならざるを得なかったのだな、と是認するより他ありません(歴史の後知恵を慎重に排除すれば)。
戦後、アメリカによる占領の下、マッカーサー配下のニューディーラー達によって日本はある種の実験国家の位置付けにされました。どこの国も持ったことのないラディカルなまでの理想主義的な憲法を持ち、あらゆる種類の民主的変革を経験しました。占領という特殊事情がなければ、革命でもあそこまで徹底した社会変革は不可能でした。
戦後得たこれらの思想や理念には、かけがえの無い価値が含まれています。戦後の我々日本人は、これらを単なるお題目と受け取り、咀嚼し尽くすことなく、軽薄に流れてしまいました。そのことによって「戦後民主主義」の弊害も顕わになり、そこがナショナリストの批判の的になっているわけです。
占領が終わり、冷戦が終わり、日本の経済的繁栄の時代が終わりました。そろそろここらで日本国憲法を中心とした戦後の民主主義を再定義、再解釈して真の意味で国民の拠り所を確立すべきではないかと思います。その際に、日本とは何か、という民族論に関わる洞察を抜きにして理想主義のみに走っては、戦後の進歩主義思想と同じ陥穽にはまるものと危惧します。ここのスレで言う
民族派と進歩派の「止揚」が求められます。