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今週号の『ニューズウィーク日本版』は必読!  − 米国大統領が「イスラムは敵である」と公言できるはずもない − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 10 日 18:52:56:

(回答先: イスラムを同じ経済システムに引き込む理由は? 投稿者 カレラ 日時 2002 年 10 月 10 日 04:01:00)

カレラさん、こんにちわ。

タイトルにしたように、既にお読みかも知れませんが、今週号の『ニューズウィーク日本版』は必読です。

竹中大臣のインタビュー記事で話題になりましたが、あれはほとんど価値のない記事と言ってもよく、“日本特集”・「イラク問題」・「アフガニスタン問題」の記事に重要情報が満載です。

カレラさんが言われていた「対イラク査察」についても、私が書いたように98年査察スパイ潜り込みませを書いているだけではなく、大統領宮殿の査察目的がフセイン大統領の居場所や逃走経路を知るためのものであったかも、ということを書いています。
また、別の記事では、CIAとブッシュ政権強硬派の「イラク観」をめぐる対立も書かれています。CIAはイラクの脅威は差し迫ったものではないという立場です。(それがCIAのどういう思いを反映した報告であるかを推察するのが面白いと思います)


先週号は店頭ではもう売っていないと思われますので、米国の中東政策の今後を考える上でヒントになる記事を紹介します。

『ニューズウィーク日本版10・9』のP.28から始まる「衰弱死する中東経済」という記事です。
筆者は、ワシントンの世界開発センターの客員ジャーナリストと称するスティーブン・グレーン氏です。

記事は、中東経済の根源的問題を、「その問題とは、慢性的な資本の流動性不足だ。それが、失業の増加と経済の停滞を引き起こしている。単に資金が不足しているのではない。活発な地下経済からカネを吸い上げて、脆弱な「表経済」へ供給する近代的な金融システムが存在しないのだ。<中略>アラブの金融機関があまりにも原始的で、政府も機能不全状態にあるからだ。銀行は融資に消極的で、株式市場でもほとんど取り引きが行われていない。」と概括し、「現在の中東諸国の課題は、金融システムをよみがえらせ、眠っている厖大な資本を流動化させることだ。」と提起し、「問題解決のカギは、資金の効率的な再配分にある。アメリカがアラブ世界の問題を本気で解決しようと思うのなら、イスラエルやエジプト、ヨルダンに毎年ばらまいている巨額の援助金の使途を、金融システムの近代化に限定すればいい。それは厖大な資本を流動化させるための呼び水となるだろう。無能で抑圧的な政権への援助を中止するのも一つの手だ。」と結論している。


カレラさんにことさら説明することはないと思いますが、要は、中東全域で欧米型近代金融制度を確立させなければならないというものであり、利息取得を禁止するイスラムとは相容れない銀行制度を米国が率先して持ち込むべきというものです。

“翻訳”すれば、中東には厖大な通貨的な“富”があるが、それを利息という手段で徐々に吸い上げていくシステムがないのは問題だということです。

前々から書いていることですが、これこそが「イラク攻撃」の目的であり、「対イスラム戦争」の目的です。


以下はいただいたレスに対するものです。

>あっしらさんの議論を聞いていて違和感を感じるのは、「米国が完全に経済支配層に
>牛耳られており、その意のままに動いている」とお考えなのではないか、と感じられ
>る点です。米国民は底抜けのバカではありませんので、正当な大義名分がなければそ
>もそも先制攻撃などという大それたことを支持するはずがありません。経済支配層の
>利害と米国民大半の正義は一致していません。ベトナム戦争のようにそれなりに立派
>な大義名分があった戦争でさえ、国民の反対により撤退を余儀なくされました。米国
>政権に経済支配層の意を汲む意図があることは否定しませんが、それ以上に国民の信
>託に応えることを本義としている事実は見落とすべきではありません。

米国が完全に経済支配層に牛耳られているとは主張していませんし、そう考えてもいません。
経済支配層が目的を実現するために、様々な手法を駆使しながら国民的合意を形成していると考えています。
(シンクタンク・政治家・メディア記者など彼らの知的“執事”たちも、価値観や論理に縛られている人のほうが多く、自分が考えていることが経済支配層への奉仕であるとは思っていないと推察しています)

だからこそ、前回も、「米英にとっての主敵は、“近代”に背を向けているイランでありサウジアラビアなのです。(そんなことを攻撃理由に掲げて戦争を始めるわけにはいかないというのが、民主主義の成果とも言えますが...)」とか、「公言できない理由ではなく、米国民にはそれなりの理解が得られる「フセインの排除と武装解除」という理由を突破口としての軍事行動の正当化に使っているわけです」と書いています。


「経済支配層の利害と米国民大半の正義は一致していません」からこそ、価値観育成と理屈のこね回しによって一致するように思わせる努力を営々と続けているのです。


「ベトナム戦争のようにそれなりに立派な大義名分があった戦争」と言われますが、“共産主義の脅威”以外に“立派な”大義名分があったでしょうか?
“共産主義の脅威”を大義名分として掲げるのなら、ソ連や中国こそを攻撃すべきでしょう。
戦後のベトナムを見ればわかるように、民族統一国家を求め、米国との良好な関係のなかで近代化を進めたい勢力であったことも明らかです。(過激共産主義勢力ポルポト打倒に軍事力を行使したほどです)

本当の脅威であれば、もっと苛烈な戦法を駆使したでしょう。
ベトナム戦争は、アジア分断政策を基調に、肥大化した軍需産業を助成するためのものです。そのおかげで米国の国際収支がおかしくなったためにやめたというのが撤退の理由です。
今では、中国と並んでベトナムの経済権益も狙っています。
日本・韓国・台湾の安定化という決着が付くまで、中国とベトナムは“おあずけ”という話です。


>なぜ唯一の経済システムを共有する”世界帝国”を完成させる必要があるのでしょう
>か。そうなれば米国(経済支配層)にとって何かと都合が良い事は分かりますが、(イ
>ラク後も続く)継続的な戦争に持ち込んでまで同じ経済システムを持たせる理由が分
>かりません。そもそも米国民を説得する大義名分もありません。米国の敵は「イスラ
>ムの論理」ではなく、「テロの論理」だと額面どおり受け止めて問題ないんじゃない
>でしょうか。イランやサウジ、ひいては中東全域の経済システムを軍事力によって変
>えようとしている、というのは深読みが過ぎると思います。イスラムの経済論理が、
>かつてのソ連型社会主義のように自由主義圏を脅かすカウンター勢力であるというな
>ら話はまだ分かります。しかし、そうならかつてソ連にそうしたように、米国政権は
>はっきりとイスラムへの敵対意志を表示するはずです。そうしないのは、そう考えて
>はいないからです。

経済支配層は、私と同等かそれ以上に「近代経済システム」の末期的危機を自覚しています。
利潤という名の通貨的“富”の極大化をはかる“最善”の方法は、“金貸し”です。
日本もそうですが、現段階で、経済支配層は“金貸し”を世界規模で支配しているわけではありません。
財を生産して利潤を上げるという近代産業資本的方法での通貨的“富”の極大化が困難になったことを認識しているからこそ、直接的な通貨的“富”の極大化方法である“金貸し”の支配をめざしているのです。

(カレラさんはまともな金銭感覚をお持ちだと推察します。守銭奴であれば、世界で流通する通貨発行権を一手に握りたいと考えます。世界中の経済活動に対して貸し出しができる“世界中央銀行”を支配していれば、どれほどの“利息”が得られるかを計算してみるのも一興かと思います。FRB+BOE+欧州中央銀行+日銀++++が得ている利息の総和です。それに加えて商業銀行を支配していれば...)

そのような目的の一貫として米国軍隊を動かすと言っても「米国民を説得する大義名分」にならないからこそ、「9・11空爆テロ」を演出し、「フセイン政権の脅威」を煽っているのです。

「ソ連型社会主義」は西欧近代思想に基づくものですから、本質的な敵ではありません。
「ソ連型社会主義」であれば、極論ですが、経済支配層が“党”を牛耳れば済む話です。
経済支配層は、今後(「対イスラム戦争」がうまくいった後ですからないかも)、人々に社会主義的な価値観を振りまきながら「世界帝国」の確立をめざしていくとも考えています。


「米国政権ははっきりとイスラムへの敵対意志を表示するはずです。そうしないのは、そう考えてはいないからです。」という言説は、率直に言って子供じみたものです。

『イスラムは敵である。なぜなら、利息の取得を禁止し、個人よりも共同体の利益を重視しているからだ。』と米国大統領が公言できるとお考えですか?

ムスリムだけではなく、敬虔なキリスト教右派・左翼・人道派などがこぞって非難の声を上げ、政権は崩壊することになります。
(経済価値観を転換させる景気となる可能性が大なので言って欲しいと思いますが(笑))

共産主義勢力は革命の世界化を一応めざし、実際にも外国への武力介入も行ったので、それを根拠にいくらでも脅威を煽ることができました。

イスラムは布教は行っても、イスラムを押し付けるために武力侵攻をしたりはしません。
また、ムスリムは、イスラム法が施行されていない国家社会でも生活が可能です。

イスラムを敵として名指しできないからこそ、イスラム過激派が9・11を実行したというストーリーが必要だったのです。


※ 民主化問題については別のレスでまとめて行います。


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