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http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no02/f2071sm0.htm
拉致問題をどう考えるか
ここで、いわゆる拉致問題とは何か。
拉致問題とは、米日帝と北朝鮮との戦争的対峙・敵対関係の中で発生したものである。この点を抜きにして、「北朝鮮=悪のテロ国家」と決めつけることはまったく間違っている。
そもそも日帝は、36年間に及ぶ植民地支配に引き続いて、戦後、とりわけ50年朝鮮戦争以来一貫して南北分断政策をとり続けてきた。その北朝鮮敵視政策のもとで何が行われてきたのか。65年日韓条約で南朝鮮を「唯一の合法政府」と規定する一方で、北朝鮮を国家(分断国家であれ)として承認せず否定してきたのである。
そのことで、在日朝鮮人や日本人の自由往来をいまだに制限している。そして、植民地支配についての謝罪も賠償も北朝鮮および北朝鮮人民に対しては一顧だにすることなく、南朝鮮との関係でも一切終了してきたと開き直っている。また北朝鮮を国家として認めないのだから、「朝鮮」は国籍ではないとして、在日朝鮮人への差別・抑圧の入管体制を正当化してきた。
実際、福田官房長官は「北朝鮮はわが国とまだ国交がないという、言うなれば交戦状態にある」と明言している(9月14日)。そうした戦争的対峙状態の中で、南北分断の戦争重圧を受ける北朝鮮がスターリン主義的反人民的軍事作戦の一環として拉致問題を起こした。日帝の一貫した対北朝鮮敵視政策が拉致問題の今一つの原因なのである。
加えて、日帝の過去の歴史的な国家的大拉致事件について、日帝が認定することも、謝罪も補償も行ってこなかったことを根本的に問題にしなければならない。数百万人の朝鮮人民を強制連行し、炭坑や鉱山に閉じ込め、強制労働させた。また、20万人とも言われる朝鮮女性を日本軍軍隊慰安婦政策のもとでじゅうりんしたことに対する償いも何ひとつ行っていない。また、1923年の関東大震災の際に6000人を超える朝鮮人・中国人を虐殺した歴史の清算も行っていない。戦後の日本では朝鮮中学・高校生徒への集団的暴行事件が繰り返されてきたのである。
北朝鮮によるいわゆる拉致問題をもって、日帝の戦前・戦後をとおしての朝鮮人民に対する植民地主義、民族差別・抑圧の国家的大罪をこの際塗り隠してしまえなどということは断じて許されない。日帝の朝鮮人民への国家的大罪を真に謝罪し償うことが、日本と北朝鮮との戦後的な戦争的対峙を終わらせ、拉致問題の解決につながるのである。
したがってまた、日帝の基本方針である「拉致事件の解決なしに国交正常化なし」論こそが、拉致問題の解決を妨げてきたのである。日帝は拉致問題を人道的に解決しようという態度ではまったくなかった。逆に、拉致問題とその関係者家族の苦しみや悲しみを、帝国主義的に利用して北朝鮮との交渉を有利かつ高圧的に進める道具にしてきたのである。日帝はどうして過去・現在の国家的大罪を速やかに謝罪せず、今に至るも北朝鮮との国交正常化をしてこなかったのか。そうした日帝の態度は、道義性のひとかけらもなく、拉致問題をもてあそぶものである。それなのに北朝鮮を一方的に非難することなどできるのか。そんなことはけっして許されない。
拉致日本人早期救出議員連盟(拉致議連)は、「食糧支援の中止、朝銀信組へのさらなる公的資金投入の中止」や「朝鮮籍の在日の再入国の禁止」などを要求して排外主義を扇動している。現に朝鮮学校などに対する脅迫や襲撃が始まっている。
「テロ国家=北朝鮮を制裁しろ」などという扇動と襲撃は、重大な戦争放火である。断じて許してはならない。「制裁しろ」とは、石原慎太郎が「私が総理だったら、北朝鮮と戦争してでも(拉致された日本人を)取り戻す」(ニューズウイーク6・19号)と言ったのと同じ論理である。8人の死と引き換えに朝鮮人民を何千何万人と殺せと言うのかということである。