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Vision quest;「自由」と「自在性」について 投稿者 如往 日時 2002 年 9 月 03 日 06:28:26:

(回答先: 追記 投稿者 ウッチャー 日時 2002 年 9 月 02 日 00:55:14)

 ウッチャーさん、こんにちは。

 お褒めにあずかり恐縮しています。
 さてそこで、Vision questにも大いに関係することとして、「自由」と「自在性」、この言葉について私の認識を述べたいと思います。

 「自由」の意味は、自らに由る、己に依拠する、英語ではIndependence[独立、自立]に最も近接し、また、「自在性」の意味を、自分が在ること、自分が在ることの可能性ないし可能な状況、英語ではFreedom[束縛や障害などがないこと]に最も近いものと捉えています。つまり、「自由」が可能な状況としての「自在性」、「自在性」を担保していくための「自由」な個、両者は相互補完的な関係にあります。但し、ここでは誰が「自由」を人間に科したか、あるいは誰が「自在性」を与えたかの宗教的な言説については暫し埒外にさせて戴いて、一つ付け加えると、Freedomに「自由」の訳語をあてたことが、その後日本で「自由」の意味を曖昧にした一因にもなったと考えています。

 他に「自由自在」といった熟語もあり、元々「自由」も「自在」も仏典の周縁を彩る言葉であったようですが、折しも江戸末期から明治初期にかけた外来語の翻訳作業の中で復活してきたのです。しかしながら、当時の大多数の日本人に、「自由」がどれほど切実なものとして意識されたか、「自在性」がどれほどの重き価値として顕在化していたか、詳らかではありません。そのような実態とは無縁の如く、それから日本(人)はおよそ4度の戦争を経験し、とりわけ最近の大戦では大敗北を帰すことになります。そして、Independence[自由]とFreedom[自在性]というまさしく記号を米国から改めて付与されることになりますが、所謂戦後民主主義の動向は思想家や文学者や文明評論家達が躍起になってこの記号の米国流に過剰に阿た概念化、若しくは日本流に偏執した意味の充溢化を試行するという側面を持っていたと思います。けれども、果たしてそれに成功したでしょうか。ナショナリストの批判を引くまでもなく、殆ど失敗に終わっていると思いますが、戦間期を挿んだ軍国教育や戦後教育に必ずしもその原因を求めることはできないと考えます。何故なら、幸か不幸か、日本は建国時を除いては他国から侵略され統治されることがなかった、従って国民個々としては「自由」も「自在性」も第一議的な課題として顕現し得ず、ましてや自ら勝ち取る経験などできるはずもなかったのです。

 ところで、Vision questは「自由」な個が、「自在性」の中にあるべき未来像を打ち立てようとする企てと捉えることができると思いますが、戦後から今日までの日本人が見掛け上は「自由」を獲得しているように見えても、理念と実際を限りなく一致させるようなプロセス、即ち「自由」の実質的な検証ができなかったために、現実に少なくとも集団的な規模でそれへ向うことができずにいるのです。これからの日本人にはVision questのような思惟方法が必要であることを前提に、如何にしたら日本人がそれを自身のものにできるか探っている最中です。もちろん、よもや日本人の誰一人として敢えて侵略や戦争を引き起こしてまでその経験を基にシミュレーションするなどの愚を想い付くことはないだろうと考えますが、一方、邪なVisionにおいて世界を巻き込みながら仮想ドライブを現実に当て嵌めようとしている、「自由」の先進国である米国も範とするに相応しいとは言えません。また、日本人の霊性と称されるものの淵源に未来のベクトルを決めるべき、内なるImpactを求めようとするナショナリズムも、俄かに信じるに足るものでしょうか、甚だ疑問であると言わざるを得ません。戦後50余年が経つこの期に及んでまでも、我々日本人は範とするを何も得ぬまま、先ず「自由」なることの習得から再始動しなければならぬでしょうし、たとえば期の満つるを勘案しても憲法改正はそれからでも全く遅くはないでしょう。しかし、50年後あるいは100年後になるかも知れませんが、きっとそれに続く事業が国民総参加の創造性に満ちたものになると信じたいと思います。

 やはり、市民を教化するのは市民、官僚を教化するのは官僚であるのでしょう。しかも両者は分担してそれぞれの方法で為政者群(代議士達)を教化する役目を担っているのですが、断じて、為政者群が市民や官僚を教化するのではありません。こうした見える手の一つ一つが織りなす見えざる手の生成にこそ、人類の叡智が到達すべき最終的な境地があると思います。
 話しが少し横道に逸れてしまった感があります、この件については何れまたあらためて寄せさせていただきます。

 ところで、ウッチャーさんが自らの感性において数多くのメディアから選出し、サイト上に掲載していくことは我々市民という受け手にとって有益な行為であるとみています。他にやる人がいないとしたら、それを為す一人の行為は重要だと思うのです。

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