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【ロンドン笠原敏彦】
英国でも「背番号制」をめぐる論争が起きている。政府が7月初めに発表した個人情報を記載する身分証明用カード(IDカード)の導入試案には、有力メディアや野党、市民権団体などがこぞって反対している。
IDカード導入は、不法移民対策や社会保障の不正受給防止、公共サービスの効率的な提供を目的にしたもので、政府は6カ月間国民の論議を見守った上で、来年秋にも法制化したい意向だ。
試案によると、16歳以上の居住者が「住民データベース」への登録義務を負い、個人情報の管理が行われる。IDカードには氏名、生年月日、国籍、住所、職業などのほか、人物特定用の指紋や眼球の虹彩なども刷り込まれる方向だ。
ブランケット内相は「多くの政府機関が保有するパスポートや運転免許証の発行などに必要な基本情報を合理的に管理するだけ」と説明し、信仰や犯罪歴などプライバシーに深くかかわる情報は登録されないとしている。
試案には、警察当局が「犯罪対策に有効」と歓迎する一方、野党の保守党、自由民主党のほか、有力紙、市民権団体などが「自由の侵害につながる」「個人情報の悪用、盗用の恐れが強まる」「政府の国民監視の道具になる」など強い反対を表明している。
英国では過去2度の世界大戦の際に身分証明書が使用された。最近では保守党政権時代の95年にIDカードの導入が検討されたが、反対が強く、つぶれている。