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到来するユビキタス社会〜IC技術が世界を変える<上>[PAXNet] 2002/07/24 15:55:00
超小型のICチップをあらゆる製品に埋め込んで、情報の流れや生活の在り方を一変させる「ユビキタス」社会の到来が現実味を増している。ハードルの一つであった低コストICの生産技術にもブレイクスルーの兆しが見え始めてきた。生産管理、物流、偽造防止、ネットワーク利用・・・適用範囲はあらゆる領域に及ぶだけに、関係者の期待も大きい。その分、実現に向けたハードルも数多いが、あらゆる製品が秋にさえずる虫のように情報を発進する世界はそう遠くはない。
●新産業分野は2010年84兆3000億円という試算!
総務省は先だって、ユビキタスネットワーク技術の将来展望に関する調査研究会(座長・斎藤忠夫東大名誉教授)の報告書「何でもどこでもネットワークの実現に向けて」を発表した。同報告書は2005年から10年にかけて0.3ミリメートル角の超小型ICチップが情報機器、消費財、有価証券などに埋め込まれ、ネットワーク接続する環境が到来すると予測している。
日本は積極的に取り組んで世界最先端のIT環境を構築していくべきだと提言したうえで、こうした環境が新産業分野を生み出すとともに、経済効果として2005年に30兆3000億円、2010年に84兆3000億円という試算をはじき出している。野暮ったい題名がいかにも役所的で経済効果も少々、大風呂敷な感は否めないが、それでもこうしたユビキタス社会の到来はかなり可能性が高いと言っていいだろう。
●バーコードにとって代わるIC〜膨大な情報量がカギ
現状で製品の情報を管理している仕組みの代表的なものはバーコードだが、ICはバーコードの情報量を圧倒的に凌駕する。現実にはネットワーク接続されることで情報のかなりの部分をサーバ蓄積・処理することができるため、実質的には扱える情報量には限界がないといえる。
食品にICがつくことで冷蔵庫の中に入っているものを画面で確認できる、といったようなことが引き合いに出されるが、適用範囲はほとんどあらゆる領域に及ぶ。米国では患者の認識用に人体に装着する利用法も試験的に行われている。
●実用段階に入りつつある製品分野も
国内でも昨年、国交省が航空手荷物管理への装着実験を行ったほか、建材への適用も検討している。民間でも自動車の盗難防止用やイベント開催時の入退場管理など、ゆっくりとだが着実に利用が拡大してきている。面白い例ではオフィス機器の内田洋行がオフィス家具などにICチップを埋め込んで部屋単位のユビキタス化を図ろうという取り組みもある。
先行する地域としては香港の例があげられるだろう。香港はソニーの非接触IC技術「フェリカ」を用いて、交通機関の代金をシームレスに決済できる仕組みを構築している。電子マネーとしてコンビニエンスストアでの支払いも可能で、腕時計に組み込んだタイプも登場しており、すでに夢ではなく実用段階に入っている。
(神山 純)