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(回答先: 到来するユビキタス社会〜IC技術が世界を変える<上>[PAXNet] 2002/07/24 15:55:00 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 7 月 24 日 20:09:40)
●米国で進む世界的研究〜あらゆるものにIDを付加
1999年に設立された米マサチューセッツ工科大学内の「オートIDセンター」は、ユビキタス化の最先端を走る研究機関だ。同センターにはウォルマート、テスコ、P&G、インテル、マイクロソフトといったそうそうたる企業に加えて、米国防総省、米国郵便公社など政府機関も名をつらねる。日本からは大日本印刷<7912>、凸版印刷<7911>、東レ<3402>の海外法人東レインターナショナルの3社が参加している。
同センターが想定するICタグの利容量は数兆個単位。これとバーコードに代わる次世代商品コード体系「EPC(エレクトリック・プロダクト・コード)」を組み合わせて、「地球上の全てのものにIDを」というのがコンセプトだ。
とりわけ低コストICタグの製造技術ではベンチャー企業のエイリアンテクノロジーと協力し、1個あたり数セント、5円から10円程度での生産技術確立を目指している。これは現状のICタグの価格の10分の1以下で、実現すれば普及に一気にはずみがつく。ウォルマートが同センターと連携したフィールドテストに積極的なことも追い風になりそうだ。
●次の課題は“超高度”のネットワーク技術開発
日米で急速に進むICを利用したユビキタスネットワーク化だが、実は技術的な課題はかなり多く、「オートIDセンターの構想にはエベレスト級のハードルが連なっている」(関係者)。その代表的なものの一つが、膨大な量のICが発する情報をコントロールするネットワーク技術だ。
ICタグはリアルタイムで情報を発信・処理しなければ物流管理面で真価を発揮しない。限定的なフィールドでの利用がほとんどの現状では問題ないが、オートIDセンターが想定する兆単位のICタグが世の中で動き出した場合、回線容量、情報処理方式など、現状のネットワーク技術では追い付かないだろう。
特に「兆単位のICタグが発する情報を安定して捌くサーバは現時点で存在しない」(同)。オートIDセンターに大手サーバメーカーのサンが参加しているのも、こうした事を睨んでのこと。こうしたハードルは国内での取り組みでも同様だ。
●日本にも必要な「利害関係抜きの共同研究組織」
逆にいえば高いハードルが次世代のネットワーク、サーバ技術を生み出す可能性もある。オートIDセンターの取り組みは全てのデバイスにIPを割り当てるIPV6を、機械以外のモノにまで拡張するといっていい構想だが、その過程で発生する技術ノウハウは重要だ。センターに参加している国内企業の担当者は「技術開発の宝庫。参加するだけでも意義がある」と話す。
米国が産学官で急速にプロジェクトを立ち上げているのに対して、日本企業の反応はやや鈍い。米国の進展状況を見ると、日米の競争という観点からも総務省の報告書が提言した「ユビキタス化に向けた最先端のIT環境構築に取り組むべき」という目標は的外れではない。企業間の利害関係を抜きにして共同研究するフィールドの設置が不可欠といえよう。
(神山 純)
・到来するユビキタス社会〜IC技術が世界を変える<上>
http://www.paxnet.co.jp/news/datacenter/200207/24/20020724160003_63.shtml